読書の秋に考える「足元」と「現実」:フランス文学『魅せられたる魂』より
- 12 分前
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📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
ものすごく紅葉が美しい季節になりました。
黄色や赤、鮮やかな茶色の木々が陽光を受けて輝き、歩くたびに季節の移ろいを実感します。
今日は、読書の秋にちなみ、あるフランス文学作品と、そこから得た視点についてお話ししたいと思います。

フランス文学との出会い
私がフランス文学に興味を持つようになったのは、銅版画工房に通っていた頃です。
当時、大江健三郎や渡辺一夫の作品を読む中で、フランス文学の影響を強く感じる場面が多くありました。
大江健三郎が愛読していた作家たち、そして渡辺一夫が紹介していたフランス語圏の作家たちの作品に触れることで、自然と興味の対象が広がっていきました。
その中でも、私の心に強く刺さった作品が、ロマン・ロランの『魅せられたる魂』でした。
📝作品メモ:ロマン・ロラン『魅せられたる魂』とは?
『ジャン・クリストフ』で知られるノーベル賞作家フランスの作家ロマン・ロラン(Romain Rolland, 1866-1944)が、1920年代から30年代にかけて執筆した大作です。
主人公アンネット・リヴィエールは、裕福な家庭に生まれながらも、既存の道徳や結婚制度に縛られることを拒みます。
「未婚の母」として世間の冷たい目や経済的困難と向き合いながら、たった一人で息子を育てます。
物語は、彼女が個人の自由を守る闘いから、やがて息子と共に社会の不正やファシズムと対峙し、「連帯」へとたどり着く過程が描かれます。
傷つきながらも「真実」に生きようとするアンネットの姿は、現代の私たちにも強い問いを投げかけてきます。
足元を観察する大切さ
『魅せられたる魂』を読んで私が強く感じたのは、「目の前にあるものを見過ごしてはいけない」というテーマでした。
大きな目標や理想にばかり目を向けるのではなく、まず自分の身近にあるもの、足元の現実に目を向けることの大切さに気づかされます。
身近にあるからこそ見過ごされがちなものを丁寧に観察することで、日常の中にある小さな発見や豊かさに気づけるようになります。
SNS時代に失われる「リアル」
現代はSNSの評価や数字に振り回され、自分の「リアル」がどこにあるのか見失いやすい時代です。
アンネットの揺るぎない生き方を思い出すと、自分の生活や感覚、足元へ立ち返ることが重要だと痛感します。
日常の中で当たり前に見過ごしてしまう瞬間や物たちを観察し直すことが、現実の感覚を取り戻す助けになります。
想像力と現実の両立
また、この作品は、現実の厳しさや危機を「想像する力」の重要性も教えてくれます。
ポジティブなことばかりを追い求めるのではなく、最悪の事態を想定すること。ディストピア的な未来を想像し、それでも自分がどう現実を生きるかを考えること。
これは、私自身の創作にも通じる部分です。甘い理想だけを描くのではなく、現実世界の矛盾や苦さに目を向ける視点こそ、表現を深めるために欠かせないものです。
読書を通じて日常を見つめ直す
秋の紅葉をかみしめながら読書をする時間は、心を落ち着け、感覚を研ぎ澄ますための大切な機会です。
フランス文学のように深い洞察に満ちた作品に触れることで、自分の身近な世界を見直すきっかけになります。
足元を丁寧に見つめ、日常を観察すること。それは創作活動だけでなく、人生の質を確かなものにしてくれる、一歩のように思います。
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