ギフトエコノミーが開く、創作の新しい循環について
- 7 日前
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📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
図書館で偶然手に取った一冊の本をきっかけに、「ギフトエコノミー」という考え方に触れました。
その本は、ものを“買わない”という選択を通して、私たちの生活をより豊かにしていくための方法を提案していました。
📚『ギフトエコノミー ―買わない暮らしのつくり方―』 2021/2/25
リーズル・クラーク (著), レベッカ・ロックフェラー (著), 服部雄一郎 (翻訳)

買わない暮らしから見えてきたもの
買わずに我慢するという意味ではなく、人がすでに持っているものを分け合い、交換しながら生活を組み立てていく。そうすることで無駄な消費を抑え、地球環境にも負荷をかけずに暮らす方法です。
ギフトエコノミーとは何か
ギフトエコノミーとは、貨幣を介さずに、ものやサービスが“贈り物=ギフト”として交換される社会の仕組みです。
「返さなければならない」という義務ではなく、「誰かが巡り巡って別の誰かに与える」というゆるやかな連鎖が特徴です。
この考え方は、哲学や社会学の領域で論じられる「贈与論(ぞうよろん)」とも深く関わっています。
贈与の本質は、相手に対する純粋な気持ちとして与えたものが、やがてコミュニティ全体の豊かさにつながっていくという視点です。
経済活動を貨幣だけで捉えず、人間同士の関係性として捉え直している点が非常に示唆に富んでいます。
📍テキストの最後にコラムあり
身近な問題としての“紙のゴミ”!?
興味深いことに、その本では「プラスチックより紙のゴミの方が深刻である」という指摘がありました。
プラスチックは軽量化が進みシェアが減っている一方で、紙の廃棄量はむしろ増えており、埋め立てられた紙は長期間そのまま残り続けるとのこと。
紙は燃える素材ですが、燃え残りや燃え損ねた部分が大量に出てしまうため、環境負荷は決して小さくありません。
絵を描くためには紙が欠かせませんが、私はこの指摘を読んで、自分の制作における素材選びや消費についてあらためて考えさせられました。
紙をまったく使わずに制作することは現実的ではありませんが、「どれだけ必要か」「代替手段はあるのか」といった問いは、今後も向き合うべき課題だと感じました。
アート制作とギフトエコノミーの接点
創作の現場でも、ギフトエコノミーの視点は決して遠いものではありません。
作品は作家が自らの時間や経験、感情を注ぎ込んだ“贈与”そのものでもあります。
また、アイデアや技法、インスピレーションといった目に見えない財も、日々の対話やコミュニティの中で自然に受け渡されています。
特に印象的なのは、「物理的な素材に頼らずとも創造性は発揮される」という点です。
AIを活用して制作する人が増える一方で、従来の技法で制作を続ける人もいます。
いずれの方向性にも優劣はなく、どちらも“与える”という姿勢によって価値を生み出しています。
私自身、制作中に「これは環境にどのくらい負荷をかけるのか」「もっと持続可能な方法はあるのか」と考える場面が増えてきました。
それは作品のテーマとは別次元の問いですが、創作という営みが社会にどうつながっていくのかを見つめる重要な視点でもあります。
贈与としての創作という視点
創作は、単に物を生み出す行為ではなく、誰かへ向けた“贈り物”のようなものだと思います。
見返りを求めない贈与の精神は、クリエイションの根底にある自由や豊かさと自然につながっています。
「もっとこうあってほしい」という社会への願い
「誰かに届くといい」という静かな祈り
「自分自身の内側にあるものを形にしてみたい」という衝動
これらすべてが、ギフトのような性質を帯びています。
ギフトエコノミーの考え方に触れたことで、私は“与えること”の意味をより深く考えるようになりました。
日常の選択、制作のあり方、作品の行方まで、どれも贈与の循環の中にあると捉えることができます。
創作を通して何を贈り、どのように価値を循環させていくのか――その問いは、これからも私の中で息づき続けるはずです。
🪞【特別コラム】モノとお金の関係を超えて:ギフトエコノミーと「贈与論」の哲学
私たちが普段行う経済活動は「交換(Exchange)」、つまり金銭的な対価を伴う取引が中心です。しかし、現代社会にはその対極にある「贈与(Gift)」を基盤とした経済が存在します。それがギフトエコノミー(贈与経済)です。
🤝 1. ギフトエコノミーの正体:関係性を生む経済
ギフトエコノミーとは、即座の対価を求めず、モノやサービスを贈与し合うことで成り立つ仕組みです。
市場経済の「交換」が関係を終わらせるのに対し、「贈与」は受け取った側に「借り(返礼の義務)」を生じさせます。この「借り」がコミュニティ内の人々の結びつきを強化し、信頼を醸成しながら、循環的な経済活動を継続させる原動力となります。
事例: オープンソースソフトウェア(OSS)の開発、地域コミュニティでのスキルシェア、寄付で運営されるイベントなど。
市場原理では測れない「つながり」や「貢献」といった非金銭的な価値を重視するのが、この新しい経済の核心です。
🧐 2. 贈与論の父:モースと「三つの義務」
現代のギフトエコノミーの思想的な源流となっているのが、フランスの社会学者マルセル・モース(Marcel Mauss)が1925年に提唱した『贈与論(Essai sur le don)』です。
モースは、古代社会や未開社会の交換慣習を分析し、「贈与」は自由な行為ではなく、「贈る義務」「受け取る義務」「返す義務」という三つの義務によって成り立つ社会的な拘束力があることを発見しました。
彼は、贈与と返礼のサイクルこそが社会全体の関係性を生み出し、経済や集団間の力関係を動かしていると主張しました。
💡 ギフトエコノミーと哲学のつながり
モースの贈与論は、「交換」の論理では捉えられないモノの流れが、いかに人々の関係性(絆)を形成し、社会を動かすかを解き明かしました。
現代のギフトエコノミーは、このモースの洞察を受け継ぎ、資本主義の限界が指摘される中で、非金銭的な価値とコミュニティの強化を目指す実践的な運動として展開されています。
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