個展『gaze』作品解説:3つのシリーズの見どころ
- 9月21日
- 読了時間: 3分

いよいよ来週に個展『gaze』の開催が迫ってきました。
会場に足を運んでくださる方、またこのブログを読んでくださっている大切な皆さんに、今回の展示をより深く楽しんでいただくため、主要な3つの作品シリーズについてお話ししたいと思います。
それぞれの作品には、これまでブログで書いてきた私の葛藤や発見が詰まっています。
ぜひ、作品と私の旅をたどりながら読んでみてください。
1. 墨ドローイング作品「Gaze(まなざし)」
「gaze(まなざし)」と題したこのシリーズは、墨一色で描かれています。
それは、日本の書道や禅の精神にも通じる、即興的な筆使いから生まれる線が、内面的な感情や社会の「まなざし」によって生じる「差異」を可視化するものです。
墨は、その濃淡や滲み、そして筆のかすれから引かれた細い線まで、多彩な表現力を持ちます。即興的な筆致で描かれた顔は、筆圧の変化や余白によって頼りなさを帯びて、鑑賞者に単なる「モノ」としてではなく、内面を持つ「存在」として捉え直す機会を与えます。
2. グレイペインティング作品(パネルにグアッシュ)
モノクロと色彩の中間に位置する、灰色を主題とした作品群です。
清らかな色も混じり合うと灰色になるように、この色は、感情や思考が混じり合うニュートラルな状態、そしてどこにも属さない多層的な意味を持っています。
このシリーズでは、図や形という一見科学的なものが、芸術と結びつく接点を探求しました。その過程で、ゲアハルト・リヒターの「グレイ・ペインティング」やパブロ・ピカソのキュビズムなど、美術史における灰色の役割を再考しました。
私は、灰色を「まなざしと差異」という漠然としたイメージをリセットする色として使いました。
それは、高揚する気持ちを抑える心理的な意味合いではなく、まるで音を消すかのような消去。すべてをニュートラルに戻すという、一時停止の色です。
この作品は、知覚心理学で言う「パレイドリア」という現象を意図的に取り入れることで、見る人それぞれの主観を問い直し、作品との対話を促すことを目的としています。
3. カンヴァスにアクリル作品「領土」
モノクロから色彩へと移行した初めての作品群です。
色彩は、私たち一人ひとりの記憶や経験に深く結びついています。私自身、自分の内側にある思い出やパーソナルな主題を描くとき、自然と色を選んでいました。
この作品は、地理的な「領土」と人間関係における心理的な「領土」という二重の意味を表現しています。制作の過程で、墨のドローイングで試していた筆致を絵具でも試してみました。
すると、絵具の重みによる滴りが、私自身の情動的で即物的な行為を伝って、外の世界、まるで世界地図のようなものと繋がった瞬間でした。個人の内面的な情熱や欲望が、外の世界へとコミットメントする行為を暗示しています。
フランスの精神分析家ジャック・ラカンの「シェーマL」が示すように、私たちは他者の視座を通して自己を認識します。この作品は、自己と他者が互いに影響し合い、認識し合う「領土」を表現したシリーズです。

gaze
あなたのまなざしが作品を完成させる。
静けさと動きが織りなす世界で、 あなたの内なるまなざしと 作品が交わる、特別な体験を ぜひ会場で感じてください。
個展のご案内
個展「gaze」
開催期間:2025年10月6日(月)〜10月12日(日)
場所:M-gallery
住所:332-0016 埼玉県川口市幸町3-1-15-G
時間:11:00〜16:00(初日13:00-/土日 18:00まで)
入場無料



コメント