個展『gaze』:よく聞かれる作品のことQ&A
- 9月22日
- 読了時間: 4分

いよいよ来週に個展『gaze』の開催が迫ってきました。
これまでの作品やブログを読んでくださった方から、いくつかご質問をいただくことが増えてきました。
そこで今日は、皆さまからよくいただく質問にお答えする形で、それぞれの作品をさらに深く掘り下げていきたいと思います。
事前に作品にまつわる「なぜ?」を知って頂き、会場で作品と出会いが、より深まることを願っています。
1. 墨ドローイング作品「Gaze(まなざし)」について
Q1: 「なぜ墨なのですか?」
A:
墨は、その濃淡や滲み、そして筆のかすれから引かれた細い線まで、多彩な表現力を持つからです。
色がないからこそ、光と影、そして線の力そのものに集中でき、鑑賞者も純粋に作品の内面に向き合うことができると考えたからです。
Q2:「即興で描いているとのことですが、失敗した時はどうするのですか?」
A:
わたしにとって絵を失敗するということは、ほとんどありません。
「失敗」とは、紙が汚れる、シミが飛び散ってしまう、などの見栄えが悪くなるとき以外失敗にはなりません。
2. グレイペインティング作品(パネルにグアッシュ)について
Q1: 「なぜ灰色をメインカラーにしたのですか?」
A:
モノクロと色彩の中間に位置するものとして、灰色を据えています。
清らかな色も混じり合うと灰色になるように、この色は、感情や思考が混じり合うニュートラルな状態、そしてどこにも属さない多層的な意味を持っています。
この色が持つ多義性を、私の作品のテーマである「まなざし」や「差異」を探求する上で重要だと考えました。
私にとり「灰色」はすべてをニュートラルに戻すという、一時停止の色です。
Q2:「『パレイドリア』とは何ですか?作品にどう関係するのですか?
A:
哲学的な記号や文字を書き込んだドローイングを元に図や形という一見科学的なものが、芸術と結びつく接点を探求しました。
「パレイドリア」は人間の脳が、わずかな情報からでも顔や意味のあるパターンを無意識に認識しようとする働きのことです。
鑑賞者の皆さんが、ご自身の経験や感情を投影して、作品との対話を楽しんでいただければ嬉しいです。
3. カンヴァスにアクリル作品「領土」について
Q1: 「なぜ『領土』というタイトルなのですか?」
A:
この作品は、地理的な「領土」と人間関係における心理的な「領土」という二重の意味を表現しています。
フランスの精神分析家ジャック・ラカンの「シェーマL」が示すように、私たちは他者の視座を通して自己を認識します。
この作品は、自己と他者が互いに影響し合い、認識し合う「領土」を表現したシリーズです。
Q2:「モノクロから色に移行した理由は何ですか?」
A:
墨の作品で、自己から離れた建造物や風景の構造を制作してきました。
そのから自分の経験や記憶に目を向けて、作品に落とし込むとき感情は色彩を帯びていることに気づきました。
色彩を使うことで、よりパーソナルな部分に喚起する作用があると感じ、カラー作品への移行を決めました。
色彩は、私たち一人ひとりの記憶や経験に深く結びついています。私自身、自分の内側にある思い出やパーソナルな主題を描くとき、自然と色を選んでいました。
全作品を繋ぐ共通のテーマ
これまでの作品やブログを通して、私は一貫して「まなざし」というテーマで進めてきました。墨ドローイングでは、私が描く対象に注ぐまなざし。グレイペインティングでは、抽象的な作品に鑑賞者が意味を見出すまなざし。そして、アクリル作品では、自己と他者が互いに認識し合うまなざし。それぞれのシリーズで、異なる角度からこのテーマを掘り下げています。会場では、これら3つの異なる「まなざし」の世界を、ぜひ体感していただけたら幸いです。
皆さまからいただいたご質問の一つひとつが、私自身の作品への理解をさらに深めるきっかけとなりました。
お忙しい中、ブログを読んで、そして疑問を持ってくださったことに心から感謝いたします。個展会場で、皆さんの「まなざし」と私の作品が出会う、特別な瞬間を楽しみにしています。ぜひ、お気軽に会場へお越しください。

gaze
あなたのまなざしが作品を完成させる。
静けさと動きが織りなす世界で、 あなたの内なるまなざしと 作品が交わる、特別な体験を ぜひ会場で感じてください。
個展のご案内
個展「gaze」
開催期間:2025年10月6日(月)〜10月12日(日)
場所:M-gallery
住所:332-0016 埼玉県川口市幸町3-1-15-G
時間:11:00〜16:00(初日13:00-/土日 18:00まで)
入場無料


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