人間という“謎”がアートを動かす──内面と外面のギャップから生まれる作品
- 2 日前
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📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
秋になると、少し思索的な気分になるせいか、ふと“謎”について考えることがあります。
とはいえ、ここでいう謎は怪奇現象のようなものではなく、「人間」という存在そのものが持つ複雑さについての“謎”です。

内面と外面――人が抱える二重構造
先日、本屋でふと目にした読売新聞の書評に
「作家の内面と外面はしばしば大きく乖離している。むしろそのギャップこそが作品の魅力をつくるのではないか」
という趣旨の文章がありました。
読んだ瞬間、胸の奥にすとんと落ちる感覚があり、しばらくその言葉が頭を離れませんでした。
確かに、作品を見たときに抱く“印象”と、作家本人と対峙したときに受ける“印象”は、驚くほど異なることがあります。
むしろ一致しているほうが稀かもしれません。
そのズレは、ときに人間らしい魅力として働き、ときに誤解を生んだりもします。
私自身も、外見が実年齢より若く見られやすいことから、最初の接し方が妙にフランクになったり、カジュアルに扱われる経験が少なくありません。
でも、私の中には熱しやすい部分や、反骨心、激しい感情がしっかりと息づいています。
その“見た目の柔らかさ”と“内側の混沌”のギャップが、自覚していなかった作品のクセや勢いとして表れているのかもしれません。
人が持つ二面性――あるいは多面性。
それは、人にとってずっと興味の対象であり、人間という存在の最大の“謎”なのだと思います
「グレイペインティング」が生まれた背景
今年、個展で発表した《Grey Painting》という作品群があります。
テーマは、自分と他者の距離感や関係性、境界線。
その関係を図式化しながら整理していたとき、ノートに描いた線や矢印が、ふと“顔”のように見えてきました。
雲の形が顔に見えたり、壁のシミが動物に見えたりする、いわゆるパレイドリア現象です。
私はその現象をヒントに、「人の顔が持つメタファー」や「見えない関係性」について考えながら作品をつくりました。
抽象的な線の集合が、だんだん人の気配を帯びていく。
その瞬間の不可思議さに惹かれたのだと思います。
この“顔の気配”というテーマは、今年のカレンダーを制作するときにも私の中に残っていました。
顔が語る、見えない物語
私たちは他人の顔を見て、その人を理解したつもりになります。
けれど、顔は全てを語っているわけではありません。
それでも、皺や癖、視線の揺らぎには、その人が生きてきた時間がうっすらと刻まれています。
そうした“深読みしたくなる余白”に魅力を感じ、今年のカレンダーには、人物の表情や人が
見つめる風景をモチーフにしたリノカット版画を採用しました。
2026年版カレンダー制作について
今年のカレンダーは A5 サイズで、クリーム色がかった厚紙に刷っています。
2か月ごとの構成なので、6枚の版画を制作しました。
久しぶりにリノカットを彫りましたが、やはり彫刻刀でザクザクと進む感覚は気持ちよかったです。
リノカット版画は特別な道具を必要とせず、誰でも始めやすいところも魅力だと思います。
今回の版画は白と黒の絵の具のみ。
線と形だけで構成されるシンプルさが、季節を問わず部屋に馴染んでくれます。
人物が見ている空、夜景、風景。
そんな“その人の視界にある世界”も作品の中に忍ばせています。内面と外面、見えるものと見えないもの。その重なりをイメージしながら制作しました。
カレンダーは BASEショップで販売します。今年も生活のどこかで、静かに寄り添う存在になれたら嬉しいです。
発売は12月上旬を予定しております。
只今、刷りの作業に入りました。
📝カレンダー発売ご報告とリノカット版画技法についての記事
【BASE:オンラインショップ】
BASEではポストカードやドローイング作品を取り扱っています。是非一度ご覧になってみてくださいね。2026年のカレンダーを販売します。
【note:もうひとつのブログ】
noteではWixブログで書いた内容を、読みやすくわかりやすいテキストにしています。
写真を交え、わたしのアートについて発信しています。こちらも是非楽しんくださいね。






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