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年始に読みたい”日記”というジャンルー『83 1/4歳の素晴らしき日々』

  • 1月2日
  • 読了時間: 7分

更新日:1月2日


📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


1月2日、三が日の中日になりました。


皆さんはいかがお過ごしでしょうか。


年末は少し気温が上がり、午後の光にほっとするような日もありました。


年始には、先月読んだ本を振り返り、いくつか印象に残った作品をご紹介したいと思います。


年始に読みたい一冊として『83と4分の1の素晴らしき日々』を紹介。高齢者施設の日常を綴った日記と、スペインのアニメーション映画『しわ』を重ねながら、「書くこと」と老いの時間について静かに考察します。
新しい年のはじまりに、日記を読むという選択

先月読んだなかで印象に残った本たち

先月特に心に残ったのは、以下の本です。


  • 『ペナンブラ氏の24時間図書館』ロビン・スローン 著, 島村 浩子 訳

  • 『眩』朝井まかて著

  • 『もし私が人生をやり直せるなら』キム・へナム 著,岡崎 暢子 訳

  • 『83 1/4歳の素晴らしき日々』ヘンドリック・フルーン著,長山さき 訳


どれも読み応えがありましたが、その中でも今回は『83 1/4歳の素晴らしき日々』について、少し詳しく書いてみます。


83 1/4歳の素晴らしき日々/ヘンドリック・フルーン/長山 さき | 集英社 ― SHUEISHA ―
www.shueisha.co.jp
83 1/4歳の素晴らしき日々/ヘンドリック・フルーン/長山 さき | 集英社 ― SHUEISHA ―
83歳、ケアハウス暮らし。人生はこれからが面白い!高福祉国家オランダで空前のベストセラーを巻き起こした大ヒット老人小説オランダ、アムステルダムのケアハウスに暮らすヘンドリック83歳。ただコーヒーを飲みながら死を待つ日々に嫌気がさした彼は、仲間とともに「オマニド(老いても死んでない)クラブ」を立ち上げる。遠足やカジノなどさまざまな催しを企画して、楽しく生きようと試みるヘンドリックたちだが…。良い老後とは、人生とは何か。安楽死もある高福祉国家オランダを痛烈に皮肉る、笑いと涙、恋と友情の物語。オランダで30万部の大ヒット小説!___親愛なる日本の読者の皆さんへアムステルダムの北地区と日本の東京都は約9283キロ離れています。文化も9283キロ分、異なっているのかもしれません。ほんとうにそうなのかは、残念ながら日本のことをほとんど知らない年老いたアムステルダム市民の私にはわかりませんが。でも、国や文化の差が大きければ大きいほど、互いに学びあえる、ということは私にもわかります。少なくとも理論上はそうです。瓜二つの人間どうしが互いを高めあうことはあまりないでしょう。 それゆえ私は、オランダの老人ホームでの私の体験が日本でどのように受け止められるのか、非常に深い興味を抱いています。ぜひ皆さんからの感想を聞かせていただきたいです。日本の〈ヘンドリック・フルーン〉はどのように老後を過ごしているのか、日本にも嫌な施設長がいたり、独創的な〈オマニドクラブ〉が存在したりするのか(〈オマニド〉という言葉は少し日本語的に聞こえますね)。 なんといっても私の座右の銘は〈老いてなお好奇心の塊〉なのですから。 日本の読者の皆さんが驚くだけでなく、楽しんだり感動したりもしてくれることを願っています。 心をこめて、ヘンドリック・フルーンより___谷川俊太郎さんコメント神は細部に宿る 老いは細部を生きる___【著者略歴】ヘンドリック・フルーンHendrik Groen匿名作家。本書は文芸ウェブサイト上で連載され、のちに出版に至った。人口1700万人のオランダで30万部を超えるベストセラーとなり、36か国で版権が取得。本国ではテレビドラマ化も果たした。物語の内容については、「嘘の文はひとつもないが、全ての言葉が真実ではない」とのこと。【訳者略歴】長山さき(ながやま・さき)1963年神戸生まれ。オランダ語翻訳者。関西学院大学大学院文学研究科修士課程修了。文化人類学を学ぶ。87年にライデン大学に留学。以降オランダに暮らし、現在はアムステルダム在住。訳書にトーン・テレヘン『ハリネズミの願い』『きげんのいいリス』(以上新潮社)、ハリー・ムリシュ『天国の発見』(バジリコ)、ヘールト・マック『ヨーロッパの100年』(徳間書店)ほか多数。※数字はすべて2018年8月時点のものです。

💬オランダで30万部の大ヒット小説



日記を書いていますか?


皆さんは、日記をつけていらっしゃるでしょうか。


あるいは、日々の出来事をメモのように書き留める習慣はありますか。


『83と4分の1歳の素晴らしき日々』は、オランダに暮らす83歳の男性が、高齢者施設(ケアハウス)での生活を365日分の日記として綴った一冊です。


2018年に書かれた日記なので、今から7年前の記録になりますが、刊行当時、この作品は「著者が仮名である」という点でも話題を呼びました。


🪞オランダ発『83 1/4歳の素晴らしき日々』の秘密について。コラムあり


老いの日常を描いた物語として


この本を読んで思い出したのが、アニメーション映画『しわ』です。


認知症の兆候が現れた男性が、高齢者施設で過ごす日々を描いた作品で、静かな余韻を残す映画でした。


『83と4分の1歳の素晴らしき日々』もまた、私たち誰にでも訪れる老後や、高齢化社会の中での集団生活を描いています。


それを日記という形式で表したものが、この作品だと感じました。


🪞最後にアニメーション映画『しわ』についてコラムあり



365日書き続けるということ


人生とは、なるべく愉しく時間をつぶすこと以上の何ものでもない、というのが彼の哲学  ーp20 . 83 1/4歳の素晴らしき日々より

365日、日記を書き続けることは、現役世代にとっても簡単なことではありません。


「今日は特に書くことがない」と感じる日も多いはずです。


しかし、この日記の書き手は、たった一日を除いて、毎日欠かさず記録を残しています。


ハウスでの出来事、仲間との会話、ささやかな楽しみ。


彼らは自虐的に自分たちを「オマニド」と呼び、クラブを作り、月に一度の外出を楽しみます。


日記は、気力を保ち、自分自身をユーモアで支える役割も果たしているように見えました。


その一方で、施設という場所ならではの「死」も、淡々と、しかし確かに書き留められています。



読後に残った手触り


読み終えたあと、まるでヘンドリック・フルーンの周囲で起きた一年間を、自分の知人の出来事のように感じました。


強い感動というよりも、じんわりとした手触りが残り、後を引く読書体験でした。



年始に、日記を読む


年始は、新しいノートを開き、目標を書き出したり、気持ちを整理したりする時期でもあります。


そんなタイミングに、「365日の日記を読む」という選択は、意外なほどしっくりくるのではないでしょうか。


もしご興味があれば、『83 1/4歳の素晴らしき日々』を手に取ってみてください。


ハウスならではのユーモアや皮肉、ウィットに富んだ会話が綴られており、とても読みやすい一冊です。


この本をきっかけに、私自身もあらためて、日記を書くこと、書く時間がもたらす静かな効能を大切にしたいと感じました。


年始に読みたい一冊として『83と4分の1の素晴らしき日々』を紹介。高齢者施設の日常を綴った日記と、スペインのアニメーション映画『しわ』を重ねながら、「書くこと」と老いの時間について静かに考察します。
アニメーション映画『しわ』が描いた、老いの時間

🪞【コラム1】 老いることは、退屈することじゃない。オランダ発『83 1/4歳の素晴らしき日々』の秘密


「ケアハウスでの生活」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

静かで、退屈で、ただ死を待つだけの場所――?


そんなステレオタイプを、ブラックユーモアと熱い友情でぶち壊す一冊があります。

オランダで生まれた奇跡のベストセラー『83 1/4歳の素晴らしき日々』です。


👴 1. 主人公は、83歳と3ヶ月の「反逆児」

物語の舞台は、アムステルダムにある老人ホーム。 主人公のヘンドリック・グルーン(83歳と1/4)は、礼儀正しい老人を演じながらも、内心では施設の理不尽な規則や、愚痴ばかりこぼす入居者たちに毒づいています。

彼が仲間たちと結成したのは、その名も「老いてもまだ死んでない会」(Omanido)。


  • 活動内容: 施設のルールをかいくぐり、美味しいものを食べ、遠足に出かけ、人生を最大限に楽しむこと。


身体のあちこちが痛んでも、尿漏れパッドが手放せなくても、彼らは「生きる喜び」を諦めません。このユーモラスな抵抗運動が、読者に痛快なカタルシスを与えてくれます。


🕵️‍♂️ 2. 著者は誰? オランダ中が探した「謎の老人」

この本の背景には、出版当時、大きなミステリーがありました。

著者の名前は、主人公と同じ「ヘンドリック・グルーン」。 あまりにもリアルな日記形式で書かれているため、「本当に老人ホームの入居者が書いた実話ではないか?」とオランダ中で憶測を呼び、メディアが著者探しに奔走する騒ぎとなりました。


その正体は……? 後に判明したのは、当時60代前半だった図書館員のピーター・デ・スメット氏。 彼は「有名になりたくない」という理由で、ベストセラーになっても一切メディアに顔を出さず、文学賞の授賞式さえ欠席しました。

「名声よりも静かな生活を好む」という著者の姿勢そのものが、この作品の持つ「ささやかな幸せを大切にする」というテーマと重なり、さらに人気を高めることになりました。


📖 3. 「尊厳ある老い」への問いかけ

認知症の進行、友との死別、安楽死の選択。高齢化社会が進む先進国共通の「重いテーマ」も、日記の中で淡々と、しかし温かい筆致で描かれています。


「老いることは、誰にでも平等にやってくる。でも、どう老いるかは自分で決められる」


そんなメッセージが、説教臭くなく、老人のぼやきとして語られるからこそ、私たちの胸に深く響くのです。


🪢4.結び

人生の黄昏時(たそがれどき)を、ただの「余生」にするか、それとも「素晴らしき日々」に変えるか。 ユーモアと少しの勇気が、その鍵になることを教えてくれる一冊です。

これからの人生を考えるきっかけに、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。



🪞【コラム2】アニメーション映画『しわ』について


アニメーション映画『しわ(原題:Arrugas)』は、2015年にスペインで制作された長編アニメーション作品です。


原作は、漫画家パコ・ロカによる同名グラフィックノベルで、高齢者施設を舞台に「老い」と「記憶」、「人との関係」を静かに描いています。


物語の主人公は、認知症の初期症状が現れはじめた男性エミリオ。

施設に入所した彼が、同室のミゲルや他の入居者たちと過ごす日々の中で、環境に順応しながら、少しずつ変化していく自身の状態と向き合っていきます。


この作品の特徴は、老いや認知症を過度に悲劇化せず、日常の延長として淡々と描いている点にあります。


施設での生活には、退屈だけでなく、ユーモアや仲間同士の軽口、小さな楽しみも含まれており、その空気感は『83と4分の1歳の素晴らしき日々』に描かれる人々の姿とも重なります。


また、アニメーションという表現によって、老いの身体や記憶の揺らぎが柔らかな距離感で提示され、観る側は感情を強く煽られることなく、誰にでも訪れる時間として「老い」を見つめる余白を与えられます。


観終えたあとに残るのは、強い余韻や教訓ではなく、静かな感触です。


年始という時間の区切りに、自分のこれからの時間を思い描く際の補助線として、『しわ』はとても相性の良い作品です。


💬どうやって「老い」や「認知症」と向き合えばよいのか。本当に必要なのは「家族」か「友達」か…。



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【note:もうひとつのブログ】

noteではWixブログで書いた内容を、読みやすくわかりやすいテキストにしています。

写真を交え、わたしのアートについて発信しています。こちらも是非楽しんくださいね。


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