2026展覧会レポート#12|ファトマ・ハッスーナ写真展
- 2月24日
- 読了時間: 4分
更新日:6 日前
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映画『手に魂を込め、歩いてみれば』を鑑賞した後、パレスチナ・ガザ地区に暮らしていたフォトジャーナリスト、ファトマさんの写真展が東京・品川のユニセフハウスで開催されていることを知り、足を運びました。
💬映画鑑賞後のレポートはこちら

映画で体験した「歩く視線」
映画の中では、彼女が撮影したガザの現実の写真が数多く映し出されます。
破壊された街並み、そこで暮らし続ける人々の姿。
その一枚一枚に、彼女の視線の強さが宿っていました。
特に映画の終盤、ファトマさん自身が、自らの歩幅、自らの速度で街を歩く映像が映し出されます。
崩壊し、道幅が狭くなったガザの町。ロバに荷車を引かせる人々が行き交う風景。崩壊した建物と瓦礫が当たり前になってしまった往来の日常の音。
彼女の歩く速度と同じ目線で街を見つめる時間は、まるで自分自身がその場を歩いているかのような、生々しい現実感を伴っていました。
写真展という空間で出会った現実
その鑑賞体験の直後に訪れた写真展は、建物の一角に設けられた比較的小規模な展示で、約15点ほどの作品が並んでいました。
しかし、その規模とは裏腹に、写真から受け取る強度は決して小さくありませんでした。
瓦礫となった巨大な建物に対し、人々の姿は驚くほど小さく写っています。
圧倒的な破壊のスケールの前で、人間の存在はあまりにもささやかです。
しかし同時に、ほとんど無彩色に近い瓦礫の山の中で、人々の衣服や日用品、パラソルや布、じゅうたんなどの色彩が鮮やかに浮かび上がっていました。
その色は、見た目の鮮やかさや装飾的な記号ではなく、生命のきらめきのようにも見えました。破壊の只中にあっても奪われないものがある。そのことを、彼女はレンズを通して一つ一つ掬い取っていたのではないかと感じました。
写真に写る彼女自身のまなざし
展示には、彼女自身を写した写真も含まれていました。
そこに立つのは、ガザで暮らす一人のフォトジャーナリストとしての誇りを宿した、凛とした姿です。
こちらを見つめる眼差しは澄んでおり、強い意志を内包しています。
それは遠い世界の人物ではなく、私たちと同時代を生きる一人の人間の眼差しでした。
彼女は、包囲されたガザから出ることのできない家族や故郷、祖父母の代から続く血縁や絆とともに生きる決意を持っていました。
そこで生きること、そこで暮らしてきたことの中に、確かに幸福や美しさを見出していたことが、映画からも写真からも伝わってきました。
レンズが選び取った「色」
会場では、海外のユニセフ職員による、より直接的な映像も上映されていました。
それを目にすることで、ファトマさんのレンズが何を選び取り、何を託していたのかがより鮮明になります。
彼女は破壊そのものだけでなく、その中に残る生活の色、大人も子供も身に付ける色、共に生きる小鳥の色、生活の痕跡、希望の兆しを写していたのではないでしょうか。
映画の中では、彼女が身につけていたヒジャブの布もそうです。
ビデオ通話の場面ごとに異なる布を身につけていました。戦時下にあっても、身にまとうものによって清潔さや品位を保とうとする姿勢。その細部が語る言葉があります。
託された写真と、これからの読書
私たちは、この写真を撮った彼女がすでにこの世界にいないことを知っています。
だからこそ、写真一枚一枚が、彼女から託された視線のように感じられました。
写真とは、撮る人そのものが何かを託して残す行為なのだと、あらためて考えさせられます。
映画と写真展をきっかけに、私はガザについてさらに知りたいと思い、『なぜガザなのか』を手に取りました。実は二か月ほど前にも一度手に取ったことがありましたが、そのときは読み進めることができませんでした。
しかし今回は違います。
映画で彼女の声を聞き、表情を見て、写真を通して彼女の思いに触れたからこそ、知りたいという内的な欲求が確かに生まれました。
知らなかった世界に生きた一人の人間と、映画という時間の中で出会ったこと。
その体験が、次の一冊へと私を向かわせています。
この映画と写真展をきっかけに、私はこれからも一冊ずつ本を読み続けていきます。
それは理解したと断言するためではなく、知ろうとし続ける姿勢を保つためです。
【ファトマ・ハッスーナ写真展】
2025年12月11日(木)~2026年2月19日(木)
入場無料
BASEでは2026年カレンダーやポストカードやドローイング作品を取り扱っています。是非一度ご覧になってみてくださいね。
🚩2月24日更新📝【note:もうひとつのブログ】
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写真を交え、わたしのアートについて発信しています。こちらも是非楽しんくださいね。



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