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ゴッホをめぐる“前夜”としての12月

  • 2025年12月11日
  • 読了時間: 4分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


前々回の記事では、今年の私自身の創作や展示活動について整理してみましたが、今日はこれから訪れる予定の展覧会の話をしたいと思います。


そのひとつが、まもなく会期終了を迎える ゴッホ展 です。


ゴッホの作品は日本でも比較的展示される機会があり、一度は実物をご覧になった方も多いのではないでしょうか。


私自身は、安田生命ビルに所蔵されている《ひまわり》を数年前に鑑賞したことがあります。


しかし、それ以外の作品をまとまった形で見た記憶はほとんどありませんでした。


💬2025年振り返りの記事


ゴッホ展、観に行かれましたか?

展覧会の“前夜”に読むゴッホ


展覧会を前に私は数冊のゴッホ関連書を読み返していました。


きっかけになったのは、最近刊行された「ゴッホの耳切り事件」をめぐる1冊です。


ゴッホが“耳を切った”というのはよく知られる逸話ですが、実際には「全部切り落としたのか」「一部だけだったのか」など、細部には多くの論争が残っています。


あるイギリスの女性研究者がこの謎に挑み、事件の背景を推理するように追った非常に興味深い本で、私はそこから続けてゴッホ関連書を読み始めました。


読めば読むほど、ゴッホという人物は単に“狂気の画家”という一言で整理できる存在ではありません。


自分を楽しませることや楽をすることに背を向け、まるで十字架を自ら背負うように生きた人であり、その姿勢は徹底して孤高です。


周囲からは「扱いづらい」「危険人物」と見られることも多かったようですが、手紙や絵画を通して見えてくる彼の姿は、むしろ繊細で、極めて几帳面で、細部への集中力が異常なまでに高い人でした。


💬~12/21(日)まで「ゴッホ展 がつないだ画家の夢」東京都美術館


💬この本からゴッホ展に向けて読書が始まりました


“乱れた精神”では描けない、あの線の美しさ


ゴッホの絵を図録で見ると、まず驚くのは 構図の安定感 です。


建物の輪郭や水平線は驚くほどまっすぐで、筆致の激しさとは裏腹に、その下地には緻密に計算された秩序が存在しています。


色彩も同様で、どの色も感情のままに置かれたのではなく、彼の内部で何度も何度も吟味された結果として画面に定着しているように見えます。


さらに、ゴッホと弟テオが交わした書簡には、英語・フランス語・オランダ語が状況に応じて使い分けられ、文字はまるで定規で引いたように均質な横線で並んでいます。


たとえ精神的に困難な時期が続いていたとしても、そこに乱暴さや粗雑さは一切ありません。紙の上の1行1行が、彼の生き方そのものを語っているようです。


私はこの事実を知ってから、彼の絵を“激しい感情の爆発”としてだけ見るのは違うのだと感じるようになりました。


情熱や苦悩は確かにそこにありますが、それらは常に冷静な観察眼と、揺るぎない職人気質に支えられていたのだと思います。



展覧会を前にして感じること


こうして本を読んだり、手紙の複写を眺めたりしていると、実物の作品を目の前にしたとき、何を思うのだろうと想像します。


ゴッホの筆の運び、色の選択、構図の決断に、彼がどれほどの集中力と体力を投じていたのか。


そして彼の“生”そのものを、改めて作品を通して感じることができるのか。


展覧会に行く前の今この瞬間の気持ちも、作品ときちんと向き合うための大切な時間だと感じています。


2025年、どの展覧会が印象に残っていますか?


今年私が見た展覧会はそれほど多くありませんが、その1つひとつが心に残り、創作の質感にも確実に影響を与えてきました。


絵画も映画も本も、外から受け取ったものはすべて、少しずつ自分の作品の中で沈殿し、形を変えて表れてくるように思います。


これから訪れるゴッホ展は、きっと豊かな“外側からの刺激”になるはずです。

その前夜としての読書や思考の時間を、今はじっくり味わっておきたいと思います。


また展覧会に足を運んだら、その感想をここに記していきます。


💬皆さんの2025年の文化的な体験も、ぜひ教えていただけたら嬉しいです。



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