2026展覧会レポート#24|創設90年記念河井寬次郎と濱田庄司@日本民藝館①
- 4月4日
- 読了時間: 5分
更新日:4月6日
📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
「針と糸を巡る旅」と称して、針と糸・刺繍・服飾・テキスタイル・手仕事・暮らしと美をテーマに、美術館や展覧会を巡っています。
旅のテーマは針と糸ですが、わたしが追いかけているのは「手仕事」という、もう少し広い何かです。
針でも、糸でも、土でも、木でも、人の手が素材に触れ、時間をかけて生まれるものへの眼差しが、このシリーズを動かしています。今回は、陶芸の展覧会へ行ってきました。
今回は以前から気になっていた東京・駒場の日本民藝館「創設90年記念河井寬次郎と濱田庄司」展へ足を運びました。
この記事は前編・後編の2回に分けてお届けします。
①前編では、訪問のきっかけとなった読書体験や現代アートシーンとの対比、そして日本民藝館という建物・空間そのものの魅力についてお伝えします。
②河井寛次郎と濱田庄司それぞれの作品の印象、東西の手仕事をつなぐ併設展の発見、そして民藝館を訪れてあらためて気づいた、針と糸という手仕事の意味についてお伝えします。

また2025年12月に出版された朝井まかて『グロリアソサエテ』と原田マハ『リーチ先生』も読み、柳・河井・濱田と英国の芸術家バーナード・リーチの交友についても少しかじりました。
海外と日本の服飾・手仕事・テキスタイルやフォークロアへの好奇心が膨らんだのは、こうした読書体験とともに、もうひとつ理由があります。
現在の東京では、国立新美術館の「YBA&BEYOND展」 「ソル・ルウィット展」をはじめ、現代アート・インテリア・写真・版画など多種多様な展覧会が毎月・毎週のように開催されています。鑑賞が追いつかないほどです。
その中で、どうしても難解なものや政治性の強いもの、派手で強烈な作品の前に立つと、自分がそこにいることへの場違い感を覚えることがありました。
それ自体は悪いことではないと思っています。
ただ、そういうときに限って、自分が何を美しいと感じ、何に惹かれているのかが、わからなくなる。そのざわつきが、柳宗悦の著作へ、そしてこの民藝館への旅へと、わたしを向かわせたのだと思います。
柳の著作や彼らを小説にした作品を読むと、現代の主流や価値だけでない視座を持てることに気づきました。
「無名」の職人の手仕事や、民衆の間で長く使われてきたものへのまなざし。
それは以前のわたしにはほとんど顧みることのないものでした。
そしてわたし自身が制作のひとつとして針と糸を使い始めたこと、実際に手を動かしてみると、鑑賞の面白さも変わっていきました。
民藝館という場所そのものが作品だった
開館90周年記念「河井寛次郎と濱田庄司」展は、近現代を代表するふたりの陶芸家の作品を展示しつつ、館の常設展と日本建築としての民藝館自体も鑑賞の対象になる、素晴らしい展覧会でした。
日本民藝館は、美術館というよりも個人の邸宅、あるいは田舎の宿のような古さと懐かしさを感じさせる場所です。
木造の日本建築、大谷石の外壁、手漉き和紙を通して柔らかな外光が差し込む窓。
漆塗りの展示ケース、そして作品名を記したキャプションにまでこだわりが光ります。
黒い漆塗りの札に筆で朱を一筆一筆書かれたそのキャプション自身が、陳列作品の仲間入りをしているのです。
柳がこの館にこだわった部分は、2階でビデオとして流れており、設立の理知的な思想と熱意が伝わってきました。
柳・河井・濱田の三人は工芸品の美を共有する仲間として日本各地へ調査・蒐集の旅に出かけ、民衆的・実用的な工芸品を「民藝」と名付けました。
その出発点に立つふたりの作品を、この館で見る意味は、ひときわ深いものがあります。
スケッチする観客
わたしが訪れた日は、四月の良く晴れた日でした。
館に向かう途中、満開になった桜の花が心の靄を洗い流すかのように美しく咲いていました。
開館2時間後に到着したとき、民藝館はすでにお客さんで賑わっていました。
海外からのお客さんも3~4人いました。
二階の窓ガラスから見える小石が敷き詰められている庭には人が入れるくらい大きな壺が3ツ置いてあります。その隅にはそれと同じ大きさの壺が何個も置かれていました。
その様子を海外の方がスケッチしていたのが印象的でした。
👉後半へ続く
【創設90年記念河井寬次郎と濱田庄司】
会期:2026年3月20日(金・祝)―5月27日(水)
会場:日本民藝館
開館時間:10:00–17:00(最終入館は16:30まで)
入場料:1,500円
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