top of page

2026展覧会レポート#03|”小林徳三郎”展

  • 1月14日
  • 読了時間: 5分

更新日:1月29日

📍いつもブログを読んでくれてありがとうございます。


某日、東京ステーションギャラリーで開催されている「小林徳三郎展」を観に行ってきました。


この展覧会を知ったきっかけは、駅構内で何気なく目にした一枚のチラシでした。


素朴でありながら大胆な筆づかい、身近な素材や家族の日常風景を描いた画面に強く惹かれ、名前も初めて知る画家でしたが、実際に作品を観たくなりました。


💬1月中に足を運びたい4展をピックアップ。


小林徳三郎とは?


小林徳三郎(1884-1949)は、日本近代洋画の改革期に活躍した画家です。


1909年に東京美術学校を卒業、若者による先駆的な絵画表現で注目を浴びたフュウザン会に参加し、雑誌『奇蹟』の準同人となり、出版の仕事や劇団「芸術座」の舞台装飾に携わりました。

また、洋画家として院展や円鳥会展に出品、1923年からは春陽展を中心に発表を続け、鰯や鯵といった魚を主題とした作品を数多く描き、周囲に強い印象を与えました。


40代半ば頃より、自分の子供たちをモデルに何げない日常を表現した作品が増え、時にはマティスを連想させる明るい色や筆遣いの静物なども描いていくようになります。


晩年は、江の浦(沼津市)をはじめ自然風景に興味をもち、海景や渓流など同じ主題に取り組み、死の直前まで精力的に筆を握り、春陽展への出品を続けました。


徳三郎の死後、美術界での扱いの低さに対して、画家の硲伊之助は「もっと評価されるべき画家」と憤慨したと逸話が残っています。


東京ステーションギャラリーで開催された小林徳三郎展を鑑賞。初期作品から代表作「イワシ」、油彩の変遷まで、筆づかいとデッサンの力に迫る展覧会レポート。
2026年|「小林徳三郎」展|東京ステーションギャラリー

初期作品と版画、舞台美術の仕事


展覧会は大きく二つのフロアに分かれていました。


最初の展示室では、初期作品を中心に、水彩画や装画、雑誌の挿絵、さらには舞台背景や舞台装飾の仕事までが紹介されていました。


子ども向け雑誌に掲載された絵については、原画と印刷物が並べて展示されており、画面が印刷物へと変換される過程を同時に見ることができる構成になっていました。


また、初期の木版画や銅版画作品も印象に残りました。


特に、一色刷りの小さな木版画は、非常にシンプルでありながら大胆な構図が際立っています。


描かれているのは、サーカス団の軽業師が玉乗りをしている場面などで、黒と白だけで彫られた画面からは、陰影を活かしたモノクロと強いリズムと躍動感が感じられました。



「鰯の徳さん」と油彩作品の展開


もう一つのフロアでは、油絵作品を中心とした展示が展開されていました。


ここでまず目に飛び込んでくるのが、彼が「鰯の徳さん」と呼ばれるきっかけとなった、鰯を描いた代表作です。


画家として一躍知られる存在になった理由が、はっきりと伝わってくる力強い作品でした。


さらに、自身の子どもたちを描いた日常風景の作品群では、筆づかいや構図が一気におおらかになり、のびのびと大胆な作風へと変化していく様子が見て取れます。


その変化は、マティスのフォーヴィスムを思わせるものでした。


金魚鉢を覗き込む息子の姿や、机に肘をついて花を眺める姿を描いた作品が数点ありましたが、どれも鮮やかな色彩が強く印象に残ります。


ひと筆で描いたかのような色彩のブロックが、骨格や身体の構造に沿って配置されているため、画面には非常に安定感があり、バランスの取れた心地よさがありました。



「デッサンがすべてだ」という言葉


その秘密について、キャプションに記されていた作者自身の言葉が印象的でした。


「デッサンの力がないと絵は描けない。デッサンがすべてだ。」


この言葉を読んで、なるほど、と強く納得しました。


自由で大胆に見える筆づかいの背後には、確かなデッサン力が支えていることが、作品全体から伝わってきます。


やがて筆はますます自在になり、色を「面」や「ブロック」として捉える表現へと洗練されていきます。


へちまや西瓜といった静物画では、やや平面的で陰影を抑えた画面でありながら、対象そのものの量感と存在感が強く感じられました。


今見てもなお、その筆づかいの感覚は新鮮で、時代を先取りしていたのではないかと感じます。


この平面性と構成感覚からは、モランディの静物画を連想しました。



同時代の画家たちとともに


展示では、小林徳三郎と同時代に活動した画家たちの作品もあわせて紹介されていました。


東京美術学校やフュウザン会で出会った仲間である、眞田久吉、萬鐵五郎、木村荘八、硲伊之助らの作品が並ぶことで、当時の美術の流れや人間関係も立体的に浮かび上がってきます。


今年は、東京ステーションギャラリーの企画展をできるだけ見逃さず、足を運ぶ予定です。


2025年11月22日(土) - 2026年1月18日(日)

東京ステーションギャラリーhttps://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202511_kobayashi.html

開館時間10:00ー18:00

観覧料:一般1,300円



BASEでは2026年カレンダーを始め、ポストカードやドローイング作品を取り扱っています。是非一度ご覧になってみてくださいね。


noteではWixブログで書いた内容を、読みやすくわかりやすいテキストにしています。

写真を交え、わたしのアートについて発信しています。こちらも是非楽しんくださいね。






コメント


bottom of page