2026展覧会レポート#33|ハッチポッチ 藤枝リュウジの世界@栃木県立美術館
- 5月6日
- 読了時間: 6分
📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
連休を利用して栃木方面へ。
宇都宮美術館と栃木県立美術館のはしご旅を楽しんできました。
今回は栃木県立美術館で開催中の『ハッチポッチ 藤枝リュウジの世界』をご紹介します。
藤枝リュウジとはどんな人?
藤枝リュウジは1943年東京都生まれ。
今年83歳。
東京藝術大学工芸科(ビジュアルデザイン専攻)卒業後、1968年にサン・アドに入社します。サン・アドは開高健、山口瞳、柳原良平らが設立した当時最先端のクリエイティブ集団で、藤枝はここで広告制作の基礎を習得しました。
1972年に独立後は、パルコや『ぴあ』などのアートディレクションを手がけ、
1994年には「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」で銅賞を受賞します。
イラストレーターとしての活動は1986年頃から本格化し、唐仁原教久との出会いをきっかけに、1987年にHB Galleryで初個展を開催。その後30回以上の個展を重ね、現在も制作を続けています。
また、NHK Eテレでは「ハッチポッチステーション」以降、「クインテット」「フックブックロー」「コレナンデ商会」などのパペット番組でアートディレクションを担当。
日本グラフィックデザイナー協会会員として、半世紀以上にわたり第一線で活動するクリエイターです。
展覧会について
県立美術館での個展は自身初となる本展は、装丁・絵本・ポスター・商業デザイン・新聞広告・タイアップ作品に加え、1987年から毎年開催している個展作品とジクレー版画まで、500点以上の盛りだくさんな内容です。
なお本展は全国巡回展で、2025年7月の広島県立美術館を皮切りに、富山県美術館を経て栃木へやってきました。
今後は高松市美術館(2026年7月〜)、清須市はるひ美術館(2026年10月〜)と続く予定です。
栃木県立美術館
1972年開館の日本における公立近現代美術館の先駆的存在です。
栃木ゆかりの作家を軸に、西欧近現代美術まで幅広く収蔵し、コレクションは約9,000点にのぼります。なかでもマイセン磁器コレクションは大きな見どころの一つです。
また、学芸員の視点を活かした企画展を年間4〜5回開催し、商業デザインやイラストレーションなども積極的に取り上げる点に特徴があります。
宇都宮美術館とは雰囲気が一変し、街なかに位置します。
周囲は道路と住宅に囲まれていますが、隣接する児童公園では子どもたちが遊具で遊ぶ姿も見られます。館内はフロアが広くスロープで移動する造りになっています。
地下1階には小さなミュージアムショップがあり、展覧会限定デザインのグッズが充実。
ハッチポッチのトートバッグ・マグカップ・鍋つかみ・キャップなど多彩なラインナップです。クッキー缶または図録を購入するとポストカード1枚プレゼントの特典もありました。
訪問時(午後3時以降)はチケット売り場の行列は落ち着いていましたが、ミュージアムショップのレジは1台のみで混雑していました。
ゆっくり選びたい方は時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。
「ハッチポッチ」って何?
この言葉はデザイナーの造語かと思っていましたが、"HOTCH POTCH"という英語で「ごった煮」「混ぜこぜ」「寄せ集め」を意味します。様々な要素が一つに混ざり合った状態を指す言葉で、まさにこの展覧会そのものを表しているようです。
カラフルでポップ、多様な食材がぐつぐつと煮込まれるような楽しさ!
想像どおり、外国のような明るい色使いと愛嬌のあるキャラクターが広がる展示でした。
親しみやすさの中に知的なセンスが散りばめられた作品の数々です。
展示の見どころ:3章構成
展示は3章に分かれています。
1章「藤枝さんの仕事」—WORKS—
広告・タイトルバック・本や雑誌の装幀・パッケージ・プロダクトなど、商業デザインの仕事を幅広く紹介。
藤枝さんが手がけた絵本や本の表紙デザイン、映画雑誌の表紙なども展示されていましたが、正直なところ私はどれも見たことがありませんでした。
本が好きで装丁にも関心がある私でも気づいていなかったのは残念ですが、多くの方にとって藤枝さんの作品との最初の出会いは、やはりEテレのパペット番組なのかもしれません。
2章「藤枝さんとこども番組」—PUPPET SHOW—
「ハッチポッチステーション」「クインテット」「フックブックロー」「コレナンデ商会」、NHK Eテレで1996年から2022年まで四半世紀にわたり放送された4タイトルのパペット番組の仕事を紹介。
実際に番組に登場したパペット18体(+招き猫)の現物も展示されています。
会場ではEテレの番組映像もモニターで流れており、あの頃の記憶がよみがえります。
Eテレで「ハッチポッチ」が始まってから約30年。
あの頃子どもだった世代が大人になって訪れているのか、その年代の来場者が多く見受けられました。一方、当日は小学生・中学生の姿が少なかったのは少し意外でした。
3章「藤枝さんのイラストレーション」—ILLUSTRATIONS—
1987年から毎年開催している個展の作品群。
商業デザインや広告とはひと味違う、藤枝さんの個人的な表現が凝縮されています。
目の粗い白い紙にカラフルな色彩で描かれた作品は、マスキングテープ・英字新聞・色紙などを組み合わせ、即興的なリズムで仕上げられています。
ホワイトで修正した線の痕跡が画面に動きを生み出し、一枚の紙を貼ることでフィルターのようなぼかしや遮りの効果が生まれ、像が揺らぐようなアンティークな風合い。
どの作品もおしゃれでレトロ、かつクレバーな印象を与えます。
販売済み作品を復刻したジクレーも多く、飾りやすいサイズで揃っていました。
まとめ
作品数・展示面積ともに見応え十分です。手がけたグッズや商品も多く展示され、モニターではEテレの番組映像も流れていました。
「ハッチポッチ」世代はもちろん、デザインやイラストに興味がある方にもおすすめの展覧会です。
なお、常設展では「Collection 1 新収蔵作品でつむぐ 栃木における近代南画」も開催中です。企画展チケットで合わせて観覧できますので、ぜひセットでどうぞ。
☝🏻宇都宮美術館と栃木県立美術館はM割(相互割)が適用されます。
どちらかの観覧券(半券)を提示すると、もう一方の入館料が割引になるサービスも利用できます。
【ハッチポッチ 藤枝リュウジの世界】
会期:2026年4月25日(土)~6月21日(日)
会場:栃木県立美術館
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料:1,250円
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