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2026展覧会レポート#43|ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ@国立新美術館

  • 7 日前
  • 読了時間: 5分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


国立新美術館『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』開幕2日後、早速足を運んできました。

最近は日本美術の展覧会が続いていたので、ピカソを見るのは久しぶりで、それだけで少し新鮮な気持ちでした。


5月の宇都宮美術館レポートの末尾に、「展示環境への関心は、作品そのものへの関心とどこかで地続きなのだと、今回あらためて感じました」と書き残していました。

今回はその逆で、アプローチ自体がテーマになっていました。宇都宮では結果として気づいたことが、本展ではそれを最初から意図し、ポール・スミスは自覚的に設計していました。



💬ポール・スミスがピカソ展をレイアウト!


💬2026展覧会レポート#32|宇都宮美術館開館30周年・市制施行130周年記念ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たちヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵@宇都宮美術館②



国立新美術館「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」会場レポート。壁の色が作品を変える——ポール・スミスによる大胆な空間構成を通して、ピカソ作品の新鮮な魅力を体験してきました。
2026年6月10日ー9月21日|『ピカソmeetsポール・スミス 遊び心の冒険へ』|国立新美術館


壁の色を変えること


英国のデザイナー、ポール・スミスはピカソ展をレイアウトする。

彼がやったのは、ピカソ作品そのものにも、その解釈にも手を加えないことでした。

触れたのは、あくまで表層です。そしてその表層のなかで、もっとも効いたのは壁の色でした。ひとつひとつのブースを個性的に仕立てようとするとき、面積の大きい壁を劇的に変えることが、視覚的にも印象的にも最も強い。

壁の色を変えること。それがメインの仕事だったと、今回つくづく感じました。インスタレーションのように空間ごと仕立て、一部屋一部屋に固有の表情を持たせることで、ピカソの多彩な作品をひとまとめにするのではなく、作品ごとの特徴を抽出し、それぞれを独立した色とかたちとして際立たせていました。



「草上の昼食」ブースで感じた拡がり


なかでも、ひときわ記憶に残ったのが「草上の昼食」のブースです。モスグリーンの壁、落とされた照明、足元に敷きつめられた人工芝、そして水の流れる音。美術館の中でありながら、屋外にいるような感覚に引き込まれます。展示されていた《マネの《草上の昼食》の変奏》は横長の大きな作品で、目の高さより少し低い位置に掛けられていました。

壁の色と作品の色がほとんど差のないモスグリーンで揃っていたため、絵が壁面と溶け合い、実際より大きく、広く見える。その拡がりが、心地良い。視覚・聴覚・触覚と、身体のいくつかの感覚が同時に刺激されるその空間で、絵画鑑賞ということを忘れていました。では何だったのか…ということは後日しっくりくる言葉が出てくるでしょう。



ピカソ、愉しそう!


あらためて思ったのは、ピカソ作品がこんなにも「愉しそう」に見えたことは、かつてなかったかもしれない、ということです。アカデミックな重みを持つ傑作たちが、オシャレで現代的な感性によって「遊ばれて」も、馴染んでしまうどころか、むしろ活き活きとして見える。変形、遊戯、コラージュ。表層で遊ぶことをこよなく愛したのは、ほかならぬピカソ自身でした。ポール・スミスの仕事は、そのピカソの本来の遊び心を、この時代の光に当て直すことだったのかもしれません。

わたしたちにポジティブな感情をもたらしたり、気分を変えるきっかけを色使いによって示しているように思いました。。



6月の東京にカタルーニャが集まる


本展にもピカソの陶器が展示されていましたが、現在表参道・南青山のヨックモックミュージアムでは、『ピカソ・ミロ・バルセロのセラミック——カタルーニャへの愛——』展を開催中です(2026年2月10日〜12月20日、火曜休館、一般1,400円)。ピカソ、ミロ、バルセロ三者がカタルーニャに寄せた思いをセラミック作品を通じて紹介し、バルセロと信楽の陶芸家・古谷和也による共同制作の国内初公開も見どころです。


また三菱一号館美術館では6月13日から“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで』が開幕します。


ガウディ、ピカソ、ミロ。

カタルーニャを根っこに生まれた芸術家たちが、この6月の東京に集まっています。


ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ

会期:2026年6月10日ー9月21日

会場:国立新美術館 企画展示室2E

開館時間:10:00~20:00 ※金・土曜日は20時まで開館  ※入場は閉館の30分前まで

観覧料:2,400円





🪞会場構成・出品リスト


♦会場構成

#

セクション名

内容のポイント

00

トロンプ・レスプリ(精神を欺くもの)

《牡牛の頭部》。自転車サドルによるスミスのレイアウトが共鳴

01

『ヴォーグ(流行)』中の芸術家

雑誌・書物への描き込みというピカソの遊び心

02

青の憂鬱

「青の時代」(1901〜1904年)。《男の肖像》など孤独と貧困を主題とした作品群

03

バラ色の女性たち——《アヴィニョンの娘たち》への前奏曲

キュビスム前夜の習作群。《女の胸像》(1907年)など

04

キュビスムの実験室

日用品を主題とした分析的・総合的キュビスムの作品群

05

アッサンブラージュとコラージュ

現実の断片を直接取り込む手法。3次元的なアッサンブラージュも

06

古典主義の画家

1920年代の古典回帰。妻オルガや息子パウロを描いた作品群。《初聖体拝領者たち》《アンドレ・ドランの肖像》(ともに1919年)など

07

子ども時代

サーカス・道化師への愛着。《アルルカンに扮したパウロ》(1924年)《トラックの玩具で遊ぶ子ども》(1953年)など

08

闘牛

生と死の象徴的劇場。《コリーダ:闘牛士の死》(1933年)や版画連作〈ラ・タウロマキア〉

09

ストライプ

ストライプ模様で描いた女性たちの肖像。《読書》(1932年)など。スペイン内戦の影とともに〈泣く女〉連作へ

10

戦時中

ナチス占領下パリでの制作。人体の歪み、動物の死骸・頭蓋骨による戦争への告発

など。



♦出品リスト(主要作品を記載)

作品名

制作年

セクション

《牡牛の頭部》

1942年

00

『ヴォーグ・パリ』への描き込み

1951年

01

《男の肖像》

1902〜1903年

02

《女の胸像(《アヴィニョンの娘たち》のための習作)》

1907年

03

《初聖体拝領者たち》

1919年

06

《アンドレ・ドランの肖像》

1919年

06

《アルルカンに扮したパウロ》

1924年

07

《トラックの玩具で遊ぶ子ども》

1953年

07

《コリーダ:闘牛士の死》

1933年

08

《読書》

1932年

09



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