カタルーニャをロマネスク期から知る|『カタルーニャ美術館物語』を読んで
- 4 日前
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📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
わたしが投稿しているnoteにこんなコメントが届きました。
すぐに返信ができず、「一番の理由はなんだろう?」とふと考えました。思い当たるのはいくつかあります。カタルーニャがスペインの中でも自治権を行使し、独自の言語を持つこと。経済力と文化水準が高く、個性的な芸術家を輩出してきたこと。地中海に面した地形から、自然や古代を思わせる原初的な造形と大らかさが、その作品に現れていること。
そして、カスティーリャを本拠とするスペイン王国との長い抑圧の歴史から、民族意識が強く独立を宣言し続けているということ。
そうした問いをきっかけに、カタルーニャの美術をもっと深く知りたいと思い、この本を手に取りました。
📚カタルーニャをロマネスク期の芸術からひもとく。
『カタルーニャ美術館物語』
著者:鈴木孝壽
出版年:1995年
出版社:筑摩書房
著者の鈴木孝壽さんは、企業のスペイン現地法人に3年間勤務したことをきっかけにスペインにのめり込み、趣味が「スペイン」になったといいます。その国の歴史と美術に関する本なら著者も内容も問わず買い集め、退職後に読み進めるうちにカタルーニャ・ロマネスク美術に魅了され、本書を書くに至りました。
カタルーニャ自治州には美術館・博物館が約三百もあり、その半数が教会保存品を起点としているといいます。本書が焦点を当てるカタルーニャ美術館は、1888年の万国博覧会を機に市立美術館として出発し、カタルーニャの自立を訴えながら名称を変え、現在の場所へと移転しました。要塞時代の唯一の名残として取り残された兵器倉庫を活用して設立されたという経緯も、この地の歴史の重さを感じさせます。
本書の構成は、中世ロマネスク期の宗教美術品からモダニズム期(19〜20世紀)を中心に据えたもので、とくに第4章・第5章がその核心をなしています。ゴシック期(13〜15世紀)、ルネサンス期(15〜16世紀)、ロココおよび新古典派期(18〜19世紀)はコンパクトにまとめられていますが、それはその時代の展示品がカタルーニャ独自のものではなく外国品であったためです。
先月鑑賞した「カフェに集う芸術家たち」展(三菱一号館美術館)では、ムンサラット美術館所蔵のラモン・カザス《マドレーヌ》(1892年)が35年ぶりに来日しました。本書でも、カタルーニャ・モダニズムを代表する芸術家としてカザスの生涯が紹介されており、展覧会と読書がひとつながりになる感覚がありました。
本書のもっとも貴重な点は、中世ロマネスク期の壁画、板絵、木彫作品に丁寧にページを割いていることです。近代・現代のカタルーニャ美術は展覧会などで目にする機会があっても、ロマネスク期の宗教美術品を体系的に知る機会はほとんどありません。そうした作品の成り立ちや所蔵の経緯を紹介している本書は、カタルーニャという複雑で魅力的な土地を、最も古い層から紐解いてくれる一冊です。
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