朝・昼・夜、三人、サンドの意味|原田ひ香『三人屋』を読んで
- 4 日前
- 読了時間: 3分
📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
📚一つ屋根の下、三姉妹の飲食店
『三人屋』
著者:原田ひ香
出版年:2018年
出版社:実業之日本社文庫
元フルート奏者の父が音楽の道を諦め、現実に妥協する形で始めた喫茶店。その父が亡くなり、遺産であり形見でもあるその店を三人姉妹が引き継いでいく物語です。
舞台はラプンツェル商店街。幼なじみや知人、一見さんも訪れ、毎日が騒がしい。父がつけた「ラ・ジュール」という店名はフランス語で「一日」を意味しますが、いつしか「三人屋」と呼ばれるようになりました。
長女・夜月は夜のスナック営業、次女・まひるはランチのうどん屋、三女・朝日はトーストとコーヒーを出すモーニング。儲けがあるのは夜月のスナックで、朝日のモーニングは苦戦しています。本場の讃岐うどんを仕入れているため原価が高いのも悩みのひとつ。性格も背景も営業形態もバラバラな三人が、毎日同じ屋根の下で顔を突き合わせないように配慮しつつ、店を回していきます。
商店街という狭い人間関係の中の安心と倦怠感、内輪もめ、時勢——店を中心に身近なストーリーを集めた短編集です。シリーズ第1作となる本作は、三姉妹の人間関係を軸に、それぞれの選択と決断、そして父の生前の知られざる姿に迫る展開を描いています。
原田ひ香さんの「ランチ酒」「古本食堂」「三千円の使いかた」へと続く、「食べる・働く・お金を使う」という生活の具体から人間の人生を描くという、原田作品の原点ともいえる一冊です。
📚サンド。その意味
『サンドの女 三人屋』
著者:原田ひ香
出版年:2021年
出版社:実業之日本社文庫
単行本第1作『三人屋』は2015年に刊行され、約6年後に第2作『サンドの女 三人屋』が刊行されました。
三人姉妹が父の残した店を守るために営業を続けてきた1作目から、本作ではそれぞれが自分の事情と選択と決断を持ち、新たな営業形態で存続していく過程が描かれています。1作目で全体像を掴んでから読むのがおすすめです。
登場人物も増え、その一人ひとりに経験と歴史があります。誰の視点で描かれているのか、一方向ではない視点が客や新たなスタッフも加わり、姉妹とどう絡み合うのか。店を中心に、生き物としての人間が交差し、人が入れ替わりながら、それでもその場所が誰かの拠り所になっていきます。
タイトルの「サンド」には複数の意味が込められています。それをひとつずつ紐解きながら読み進め、続編なし——というシリーズの終わりをじんわりと味わいました。
あわせてどうぞ
詳しい活動はこちらから→【プロフィール】
お仕事のご相談はこちらから→【お問合せ】



コメント