素描家ゴッホを知る|『書簡で読み解く ゴッホ 逆境を生き抜く力』を読んで
- 5 日前
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上野の森美術館では「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が開催しています。開幕当初から長蛇の列ができ、作品を見るための行列、人の頭越しの鑑賞など、大混雑の様子を他の方のレポートで読んでいました。有難いことにチケットが取れたので、わたしも見に行けることになりました。
メイン作品《夜のカフェテラス(フォルム広場)》が約20年ぶりに来日します。オランダのクレラー=ミュラー美術館の所蔵作品です。クレラー=ミュラー美術館を少しでも知るために以前、ドキュメンタリー映画を見ました。この時のレポートはコチラをご覧ください。
今回は、展覧会に向けて、ゴッホについての本を読みました。
📚色彩家のゴッホの前ー素描家ゴッホを知る。
『書簡で読み解く ゴッホ 逆境を生き抜く力』
著者:坂口哲啓
出版年:2014年
出版社:藤原書店
ゴッホについて書かれた本は数多くありますが、「書簡で読み解く」というキーワードに惹かれました。
今から12年前に書かれた本です。ゴッホについての読書を重ねると、著者それぞれが何に注目しているか、初期の出会いやきっかけから広がる文章の萌芽を知るのも面白い。この本のユニークな点は、ゴッホの書簡だけでなく、日本の画家や俳人、民俗哲学者や詩人の著作からも引用しながらゴッホを読み解いていることです。最初は違和感を覚えますが、著者は東西の視座からこの画家の新しい読み取りを模索しています。
カラー図版16枚、モノクロ図版59枚が収録されています。なかでも見どころは、日本ではほとんど目にする機会のない、修練時代の素描です。木炭や黒チョークで描かれた素描は傷みやすく、美術館での展示には向きません。多くの人がゴッホに持つイメージ——盛り上がった絵具のごつごつとしたマチエール、鼓動を感じる色彩、うねるような渦巻き——それらが生まれる前に、彼が素描家として世に出ようとしていた時代があった。画家が優れた素描家だったことを示す図版とテキストは、本書の白眉です。
あとがきには、著者とゴッホの出会い、そして年を経てこの本が生まれた動機が書かれています。ゴッホと自分、その一対一の関係は人によってまったく異なる。どこを切り取るか、何に注目するか——既に多く出版されているゴッホ本のどれひとつ同じものはなく、読む自分の目もまた、毎回違うのだと気づきます。
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