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2026展覧会レポート#44|“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで@三菱一号館美術館

  • 6 日前
  • 読了時間: 7分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


前回ピカソ展を観たつながりで、三菱一号館美術館「カフェに集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」展に足を運びました。


ガウディからピカソ、ピカソからラモン・カザス、ルシニョルへ。

カタルーニャ芸術が東京でつながっています。カタルーニャはスペイン国内でも特殊な地域で、独自のカタルーニャ語が話され、独立をめぐって政府と闘った歴史を持ちます。


今回35年ぶりに来日した《マドレーヌ》と初公開の《カフェ・デ・ザンコエラン》所蔵するムンサラット美術館もこの地にあります。

スペイン屈指の山岳信仰の聖地モンセラットの山上に佇む、世界中から巡礼者や観光客が訪れる美術館です。


この地に生まれた芸術家たちの気質が好きで、カタルーニャ関連の作品が来日する機会はアンテナを立てて見逃さないようにしたのは、ここ2年ほどのことです。


💬2026展覧会レポート#43|ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ@国立新美術館



2026年6月13日ー9月23日|「“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」三菱一号館美術館
2026年6月13日ー9月23日|「“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」三菱一号館美術館

35年ぶりの来日

《マドレーヌ》のカザスとルシニョル


本展でどうしても見たかったのが、ムンサラット美術館所蔵・ラモン・カザス《マドレーヌ》(1892年)。35年ぶりの来日で、今回の展覧会メインビジュアルになった作品です。


実際に目の前にすると、色彩はチラシやポスターより全体的な色彩は明るかった。ブラウスの赤と女性の肌の色、画面全体がワントーン明度が高い。それが第一印象でした。縦に長い作品で、117cmとはいえ女性がほぼ等身大に感じられ、カフェにいるひとりの女性のリアルさがじわりと迫ってきました。


その隣には、日本初公開のサンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》(1889–1890年)。《マドレーヌ》がマットで乾いた質感だとすれば、こちらはテカテカした油のツヤがあり、カフェの空気ごとそこに在るような写真を見ているような具体的な絵画でした。

解説には「世紀末の退廃的な雰囲気」とありましたが、わたしはそう感じませんでした。

落ちた照明、まばらな客入り。むしろそのくらいの静けさが、カフェのリアルな内部に見えました。ちなみにこの作品、実際のカフェを描いたのではなく、想像を組み立てて制作されたものだそうです。



ピカソ——死の匂いと「青の時代」への萌芽


ピカソ×ポール・スミス展では、スペインの気質かカーニバル的な明るさとパッションがビビッドな色彩とともに前面に出ていました。でもピカソには、それと同じくらい強い磁場の「死の匂い」があります。強烈な孤独感、暗さ。今回の展示では、その萌芽をはっきりと見ることができました。


《貧しい食事》(1904年(1913年刷)個人蔵)と《酒場の二人の女》(1902年、ひろしま美術館蔵)の並びが特に印象に残りました。《酒場の二人の女》は国内所蔵なので、また別の機会に見られるかもしれません。なお、《とある通りの光景》(1900年)と《ロマの女》(1900年)は撮影禁止またはSNS投稿不可でした。



'カフェ’と一口に言っても

ギャンゲット、コンセール、キャバレー


「カフェ」と一言にいっても、当時はいくつかの形態があります。


ギャンゲット:酒を含む飲食に加えて、客自身が参加して踊る場所。

カフェ=コンセール:飲食に加えて、演者による大衆的な歌やトークが聞ける場所。

キャバレー:カフェ=コンセールから派生し、芸術的な活動が展開される場所。


〈シャ・ノワール〉は詩の朗読・演劇・絵の展示・影絵芝居を前面に押し出した最初のキャバレーです。

そこに集まる芸術家の卵たち、踊り子と富豪の関係。チラ見しながら覗く大人の世界が、当時のカフェには渦巻いていました。



会場の演出と、鑑賞のコツ


会場内はカフェのある街並みを再現するような構成で、街頭のランプや吊り看板、壁面の足元には黒猫が会場を一緒に回るような演出がありました。どの部屋も薄暗く、ロートレックの等身大ポスター(リトグラフ)を見ながら夜の街をさまよう雰囲気です。


出品作品の多くは三菱一号館美術館のリトグラフで、国立西洋美術館・大原美術館・ひろしま美術館・京都工芸繊維大学美術工芸資料館・ポーラ美術館・アーティゾン美術館などからの作品も並びます(ゴッホ《モンマルトルの風車》1886年はアーティゾン美術館蔵)。


💡鑑賞のコツ:カザス、ルシニョル、ピカソ、ユトリロの油彩作品は最後の展示室(2F)

に集中しています。これらがお目当ての方は、先に2Fをじっくり見てから戻る順路もおすすめです。



同時開催「モネとルドン」

小さくていい


小企画展「モネとルドン」も見応えがありました。

外界の変化を描いたモネと、内面世界を表現したルドン。


差異ばかりが強調されてきた二人ですが、共通点もあります。ルドンは印象派展より早い1868年にモネやピサロへの批評を残しており、印象派に関心を示した初期の批評家のひとりです。両者ともコローをはじめとする前世代から影響を受けながら、それぞれに時代の最先端を志向していました。モネ没後100年、ルドン没後110年となる今年、三菱一号館美術館の所蔵・寄託作品を加えた計16点で構成された展示です。


リトグラフの軽妙さで満たされた後にこのフロアに入ると、油彩・パステルの筆跡や絵の具の盛り上がりが鮮明に響いてきます。わたしの好きなルドン。深くて遠くまで落ちていくような空の青、パステル画はやはり格別でした。



【“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで】

会期:2026年6月13日ー9月23日

会場:三菱一号館美術館

開館時間:10:00 - 18:00(但し、祝日を除く金曜日、第2水曜日、7/25(土)、9/19(土)~9/23(水・祝)は20時まで開館。)※ 入館は閉館時間の30分前まで

観覧料:2,300円



🪞会場構成と主な出品作品


会場構成(テーマ別)

公式サイトでは章立てではなく「カフェ」の種別・拠点ごとにテーマが展開される構成が取られています。


I. 総称としての"カフェ" ——カフェ・ガンゲット・カフェ=コンセール・キャバレー

II. 〈シャ・ノワール(黒猫)〉 ——リヴィエール、スタンラン、ナビ派

III. 〈ムーラン・ド・ラ・ガレット〉 ——ルノワール、ゴッホ、カザス、ルシニョル、ユトリロ

IV. 〈クアトラ・ガッツ(四匹の猫)〉 ——カザス、ルシニョル、ウトリーリョ、ロメウ

V. ピカソ ——〈ムーラン・ルージュ〉・カフェと青の時代への転換



主な出品作品(約130点)


エドガー・ドガ
  • 《赤い服の踊り子》1897年頃 パステル・カルトン ひろしま美術館


フィンセント・ファン・ゴッホ
  • 《モンマルトルの風車》1886年 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
  • 《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》1891年 リトグラフ 三菱一号館美術館

  • 《アリスティド・ブリュアン》1893年 グワッシュ・油彩・紙 ひろしま美術館

  • 《エグランティーヌ嬢一座》1896年 リトグラフ 三菱一号館美術館


テオフィル・アレクサンドル・スタンラン
  • 《シャ・ノワール巡業公演》1896年 リトグラフ 京都工芸繊維大学美術工芸資料館 ※前期展示


フェリックス・ヴァロットン
  • 《大騒ぎ、あるいはカフェの情景》1892年 木版・紙 三菱一号館美術館


モーリス・ユトリロ
  • 《ムーラン・ド・ラ・ガレット》1910年頃 油彩・厚紙 ポーラ美術館


ジョルジュ・デヴァリエール
  • 《ミュージック・ホール》1903年 油彩・カンヴァス 大原美術館


ラモン・カザス ★本展の核心作品
  • 《マドレーヌ》1892年 油彩・カンヴァス ムンサラット美術館(スペイン) 35年ぶり来日

  • 《「アニス・デル・モノ」のポスター》1899年 リトグラフ 国立西洋美術館


サンティアゴ・ルシニョル ★日本初公開
  • 《カフェ・デ・ザンコエラン》1889〜1890年 油彩・カンヴァス ムンサラット美術館(スペイン)


パブロ・ピカソ
  • 《カンカン》1900年 パステル・紙 ひろしま美術館

  • 《酒場の二人の女》1902年 油彩・カンヴァス ひろしま美術館



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