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絵を見る初動と直観|小林秀雄『ゴッホの手紙』を読んで

  • 6月28日
  • 読了時間: 2分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


つい先日もゴッホに関する本を読みましたが、今回ご紹介するのは初版が1962年(昭和37年)に刊行された小林秀雄『ゴッホの手紙』です。

ゴッホについて書かれた本の中でも、文藝・芸術批評家の小林秀雄(1902-1983)による名著として長く読み継がれてきた一冊ですが、わたしは今回初めて手に取りました。


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📚絵を見る。その初動と直観。

『ゴッホの手紙』

著者:小林秀雄

出版年:2020年

出版社:新潮社文庫


物語の始まりは昭和22年、小林秀雄が上野の名画展で、ある作品の前にしゃがみこんでしまうほど心を動かされた場面です。その作品はゴッホの《カラスのいる麦畑》。

画家が亡くなる直前に描いた作品でした。ゴッホその人への強烈な好奇心と、作品の圧倒的な存在感に突き動かされるようにして書かれたのがこの本です。


本の構成は、ゴッホの手紙を通じて彼の画業の始まりから終わりまでを辿るというものです。そこに小林自身の視点も入りますが、死期が近づく後半にかけて、小林の声と思考は次第に身をひそめていきます。言葉を最小限にとどめ、ゴッホが手紙に書いたテキスト以外には付け足すことはないと、静かに退いていく。

p.200には「私はもう所謂『述べて作らず』の方法より他にない事を悟った」と書かれています。


ゴッホの手紙はほとんどが弟テオに向けて書かれていますが、その内容はゴッホの告白文です。画家の人格や制作の過程を伝える貴重な記録とも言えますが、毎回兄の真剣な絵画への情熱と深刻な内面の具体的な描写を読むテオは、時に苦痛を感じたこともあったのではないでしょうか。小林は多くの手紙を引用しながら、その不穏な空気や、ゴッホがその都度選ぶしかなかった判断と直観を、冷静に読み解いていきます。


小林が書いているように、「手紙の終わるところから絵が始まり、絵の終わるところから手紙が始まる」(p.233)。ゴッホの手紙を起点に、小林の眼と言葉は作品との対話へと向かっていく。この本は、人が絵を見るときの初動と直観に触れた一冊でした。



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