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2026展覧会レポート#26|スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき@東京都美術館

  • 3 日前
  • 読了時間: 8分

更新日:20 時間前

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


4月に行きたいと計画していた東京都美術館「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展に足を運びました。



💬4月に行きたい展覧会をピックアップしています。


2026年1月27日(火)~4月12日(日)|『東京都美術館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』|東京都美術館
2026年1月27日(火)~4月12日(日)|東京都美術館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』|東京都美術館

きっかけ


都美術館100周年という特別な年に、スウェーデン美術黄金期の絵画を見ることができる貴重な機会なので、一度作品を見ておきたいと思いました。

北欧といえば、テキスタイルやデザイン、インテリアなど、暮らしにまつわる芸術を思い浮かべますが、絵画についてはこれまでほとんど見たこともなければ、知っている作家の名前も挙げられません。寒く、日照時間の短い土地で、画家たちはカンヴァスに何を描いたのでしょうか。


以前見た「北欧のテキスタイルと暮らし展」を足がかりに、本展とのつながりを見いだせると、面白い鑑賞になると期待していました。


💬エレン・ケイ「美しいと感じるものと暮らすことが幸せをもたらす」という考え方は北欧全域へと浸透し、デザイナーをはじめ多くの人々に大きな影響を与えました。

スウェーデンのABC


出かける数か月前の2月頃、車内で聴いたラジオに都美術館の学芸員がゲスト出演し、本展を紹介していました。そのとき耳に残ったのが「スウェーデンのABC」という言葉です。


Anders Zorn(1860–1920)

アンデシュ・ソーン ― スウェーデンの身近なものに目を向け、特に伝統が息づくダーラナ地方を描きました。人物画に秀でており、今展でも人物画が出展されていました。ソーンが描いたリリエフォッシュの肖像画はカンヴァスに油彩で描かれています。雪の中にこちらにまなざしを向けた穏やかな人柄が伝わってきます。


Bruno Liljefors(1860–1939)

ブルーノ・リリエフォシュ ― 幼い頃から動物画家になることを意識して過ごしていたといいます。会場にはカケスを描いた作品や、自作したという金色の珍しい額に収められた4種の鳥の生存競争を描いた作品、ダイシャクシギを描いた大きな作品などが展示されていました。小さな鳥の生態に深いまなざしを向けた画家です。


Carl Larsson(1853–1919)

カール・ラーション ― 映像作品では、彼の水彩画シリーズを動画にして、7人の子どもたちと妻と暮らした家族の様子が紹介されていました。絵本のような優しい色使いと、娘たちの衣服や室内の家具・ランプ・食器棚・観葉植物など、当時の一般的なスウェーデンの家庭とは異なる画家ならではの暮らしぶりは、Ellen Key(1849〜1926)エッレン・ケイに大きな影響を与えました。「国民的画家」という事前知識がなくても、一度見たら記憶に残る卓越した絵画技法と、邪気のない理想的な暮らしの温かみが作品から伝わってきます。

この3人の画家が、スウェーデン絵画黄金期を代表する存在です。ラーションが描いたストリンドバリの肖像画は木炭画ですが、卓越した描線の中に、彼への尊敬と信頼が込められているようでした。


もう一人、忘れられない画家


3人以外に印象に残ったのは、August Strindbergアウグスト・ストリンドベリ1849–1912)です。展覧会のチラシにもなっている《ワンダーランド》は、ひときわ暗くした会場にありました。


展示方法は水面に光が集中するようにスポットライトが当てられ、絵画と絵画の間隔も広く取られ、壁面は濃い灰色でした。

サイズは中くらいでそれほど大きくはありませんが、暗い会場で見ると、光あふれる情景というよりも、神秘的な雰囲気を強調するようなドラマティックな演出がされていました。


会場の構成と気づき


会場は地下1階から2階まで、第1章から第6章の全84点で構成されていました。


第1章から第5章の作品は、フランスやドイツから影響を受けた風景画が中心で、スウェーデンの画家たちが真摯に学び取ろうとする姿勢とプラクティスの要素が強く感じられました。


もしフランスの風景画とスウェーデンの風景画をキャプションなしで同じ空間に並べたとしたら、両国の違いに気づけるかどうか——それくらい、この章の作品にはまだ「スウェーデンらしさ」が発揮されていないように思えました。


第6章から、会場は2階に移ります。そこには、フィヨルドや湖面、水平線や白夜のような北欧の気候・地形・光の特徴を捉えた、諸外国とは異なる自国を発見した画家たちの絵画がありました。


カール・ノードシュトゥルム《テューン島のホーガ盆地》、カール・ヴィルヘルムソン《ゴースウー小岩島》、オット・ヘッセルボム《夏の夜(習作)》、カール・ノードシュトゥルム《チルケスンド》が並んだ壁面は、行ったことのない場所でありながら、スウェーデンの地形・気候・自然の造形が伝わってきて、まるでその場にいるような澄んだ空気の匂いやその温まで感じました。

この4点は特に気に入った作品の並びでした。


湖面が空と光を映してガラスのように銀色に輝く様子、空と大地の近さ、森や樹々ではなく草地の広がりと、少し鈍いような光の質感——そこに、わたしは「スウェーデンらしさ」を感じました。


現在の北欧デザインへとつながる系譜


現在、北欧と聞いてまず思い浮かべるのは、大胆な柄とカラフルな色彩、シンプルで有機的なモチーフを組み合わせた室内デザイン・インテリア・テキスタイル・ファブリック、そしてトロル、ムーミン、ダーラナホースのように神話や民間伝承から生まれたキャラクターや人形ではないでしょうか。


その豊かな暮らしのイメージは、第6章のカール・ラーション《カードゲームの支度》にまで遡ることができます。


フランスやドイツに学んだ芸術家たちは、自分たちの住む土地・自然・暮らしの中から「自国」を発見しました。エッレン・ケイはカール・ラーションに大きな影響を受け著作(展覧会では「理想的な暮らし」として紹介)の中で暮らしの美しさを説き、大きな反響を呼びました。


さいごに


なぜ近年、世界的にスウェーデン黄金期の絵画が注目を集めているのか——そんな疑問が浮かびます。あなたはなぜだと思いますか?


この展覧会の鑑賞の裏側のドタバタをブログに書いています。

タイムリミット(約90分)がある日の美術展のまわり方を自分なりに考えました。

こちらの記事も併せてご覧ください。


東京都美術館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

会期:2026年1月27日(火)~4月12日(日)

会場:東京都美術館

開館時間:9:30~17:30(金曜日は20:00まで)

入場料:2,300円


🪞開催概要・会場構成・出展作家一覧


開催概要

展覧会名 東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

会場・会期

会場

会期

東京都美術館(東京・上野公園)

2026年1月27日(火)― 4月12日(日)※閉幕

山口県立美術館

2026年4月28日(火)― 6月21日(日)(予定)

愛知県美術館

2026年7月9日(木)― 10月4日(日)(予定)

東京会場 開室時間 9:30―17:30(金曜は20:00まで) 休室日:月曜・2月24日(火)

観覧料(当日) 一般 2,300円 / 大学・専門学校生 1,300円 / 65歳以上 1,600円 18歳以下・高校生以下 無料

特別協力 スウェーデン国立美術館 主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NHK、NHKプロモーション、東京新聞



会場構成(全6章・約80点)

第1章 スウェーデン近代絵画の夜明け 1735年の王立素描美術アカデミー創立以来の伝統的美術教育の時代。ドイツ・デュッセルドルフやイタリアへ向かう画家たちが現れ、ロマン主義的な自然描写が流行。スウェーデンを見つめる目が少しずつ芽生えはじめた時代。


第2章 パリをめざして――フランス近代絵画との出合い 1880年代、王立美術アカデミーの旧弊な教育に反発した若い世代がパリへ。フランスの写実主義画家ジュール・バスティアン=ルパージュのレアリスムに強く惹かれ、人物や労働者を生き生きと描く表現を習得した。


第3章 グレ=シュル=ロワンの芸術家村 パリ郊外の村グレ=シュル=ロワンに形成されたスウェーデン人画家のコロニー。淡く透明感のある色彩で牧歌的な田園風景を描いた。浅井忠・黒田清輝ら日本人画家もこの地に滞在。


第4章 日常のかがやき――"スウェーデンらしい"暮らしのなかで 帰国した画家たちが「スウェーデンらしい芸術」を模索した章。家族や仲間、日常の情景を親しみやすい表現で描いたカール・ラーション、伝統民俗文化に目を向けたアンデシュ・ソーンらの代表作が並ぶ。


第5章 現実のかなたへ――見えない世界を描く 科学・合理主義への反動として生まれた象徴主義的表現。宗教・文学・歴史・寓話を主題に、内面の世界を絵画化しようとした。ストリンドバリの《ワンダーランド》はこの章に位置する。


第6章 自然とともに――新たなスウェーデン絵画の創造 1890年代から世紀転換期、スウェーデン固有の自然(森・湖・海岸・平原)が「発見」された章。夕暮れや夜明けの薄明光、北欧の夏の夜の繊細な光の表現が特徴。本展のハイライトとも言える章。



主な出展作家

スウェーデンのABC

  • アンデシュ・ソーン(Anders Zorn, 1860–1920) 人物画・ダーラナ地方の伝統

  • ブルーノ・リリエフォシュ(Bruno Liljefors, 1860–1939) 動物・野生動物画

  • カール・ラーション(Carl Larsson, 1853–1919) 家族・室内・日常のかがやき


その他の主な作家

  • アウグスト・ストリンドバリ(August Strindberg, 1849–1912) 象徴主義・《ワンダーランド》

  • アーンシュト・ヨーセフソン(Ernst Josephson, 1851–1906)

  • カール・ノードシュトゥルム(Karl Nordström, 1855–1923)

  • カール・ヴィルヘルムソン(Carl Wilhelmson, 1866–1928)

  • グスタヴ・フィエースタード(Gustaf Fjæstad, 1868–1948) 《冬の月明かり》

  • ニルス・クルーゲル(Nils Kreuger, 1858–1930) 《夜の訪れ》

  • エウシェーン・ヤーンソン(Eugène Jansson, 1862–1915)

  • エウシェーン王子(Prince Eugen, 1865–1947) 《静かな湖面》

  • ニルス・ブロメール(Nils Blommér, 1816–1853) 《草原の妖精たち》

  • カール=フレードリック・ヒル(Carl Fredrik Hill, 1849–1911)

  • オット・ヘッセルボム(Otto Hesselbom, 1848–1913)

  • アンナ・ノードグレーン(Anna Nordgren, 1847–1916) 女性画家の代表として

  • リッカッド・バリ(Richard Bergh, 1858–1919)

(全作品がスウェーデン国立美術館蔵)


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