top of page

Idem Parisが連れてきた一冊——原田マハ『ロマンシエ』、読後の正直な感想

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


先月、イセタン ザ・スペースで開催されていた「Idem Paris 夢の工房 / Dreaming Factory」を見に行った際のレポートの最後に、こう書き残していました。


原田マハ『ロマンシエ』との出会い

開催概要には原田マハ氏がテキストを寄せています。

Idem Paris の扉を開いたことで誕生した小説『ロマンシエ』を、迂闊にも知りませんでした。これは読まなくてはなりませんね。


あれから1ヶ月、ようやくこの本を読みました。


💬2026展覧会レポート#29|ldem Paris「夢の工房 / Dreaming Factory」@イセタンザスペース


📚パリの香りはするか?インクの匂いはするか?

『ロマンシエ』

  • 著者:原田マハ

  • 出版年:2015年

  • 出版社:小学館


あらすじはネットで大まかに把握していました。パリのIdemを舞台にした、小説家と芸術を志す青年の話。設定は面白そうだし、舞台がパリのイデム工房で、仏語で「小説家」を意味する『ロマンシエ』というタイトルにも雰囲気を感じる。読むのをとても楽しみにしていました。

原田マハは自身の著作のカバーに、誰もが知るような西洋絵画を使うことが多い印象があります。今回はグレーのベースに20世紀のキュビズム的な要素のあるイラストが表紙で、赤・白・グレーの3色が用いられていました。



読み始めて感じた違和感

読み始めて、違和を感じました。

期待していたのは、パリの香り、工房の職人たちと小説家と芸術が交わる物語でした。ところが主人公のテンションや言葉遣い、登場人物や背景の描写が、これまで読んだ原田作品の中でも異色というか、わたしには読みづらかった。

原田マハはフランスにも書斎を持ち、年に数ヶ月は現地に滞在して執筆するといいます。

読者は、作家が現地で生活し、呼吸し、その土地のものを見て、食べ、歩く。そうすると文章のどこかに、日本以外の香りが滲み出てくる。その土地に流れる時間が刻まれていて、読みながらそれを追体感できるのです。


多和田葉子の物語にはベルリンの時間が流れ、匂いがあり、音があり、人はドイツ語を話しながら通りを歩いている。それが文章から伝わってくる。原田マハにも同じものを期待していました。



読後に残ったもの

『ロマンシエ』にもパリのIdem工房を中心とした地図、固有名詞、食材や料理名が登場します。でも、それがことごとくパリの香りがしなかった。工房の描写からも、芸術の空気が感じられませんでした。

それでも、あの展覧会がなければこの本とも出会いはありません。

Idem Parisの石版画が刷り上がる瞬間の空気を、いつか現地へ行って制作できるように、心は羽ばたきます。



あわせてどうぞ








コメント


bottom of page