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女性が求めるもの|阿刀田高『リスボアの女』、金井真紀『テヘランのすてきな女』を読んで

9月16日
読了時間: 4分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


2026年2月28日、アメリカとイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始しました。首都テヘランなどが標的となり、戦闘状態に発展し現在も攻撃は停止されず行方は不透明です。


今回読んだ金井真紀『テヘランのすてきな女』はイランのテヘランに住む女性たちをインタビューした本です。著者が取材で出会った人たちはどうしているだろう。無事でいるだろうか。今年見た映画「手に魂をもって歩いてみれば」の監督もイラン出身で、祖国を離れ亡命しています。

阿刀田高『リスボアを見た女』は公式の史実には現れない女性のお話しです。

鉄砲伝来の技術と引き換えに嫁がされたと言われています。


日本と海外の女性について書かれた本を2冊ご紹介します。どうぞお楽しみください。


💬今までご紹介した本はこちらからご覧ください。



📚世界の玄関口を見た女性

『リスボアを見た女』

著者:阿刀田高

出版年:1995年

出版社:新潮文庫


ポルトガルと種子島。

島と海がふたつの国をつなぐ物語。


主人公・野々村は妻の秋子と上野の博物館を訪れ「古銃」を目にしたことをきっかけに、中学時代の記憶を紐解き始めます。やっと取れた休暇を使い、種子島へひとり旅に出ます。鉄砲伝来について教師から話を聞いたこと、同じ教室にいた同級生・育子の面影がちらつきながら、目的は島にある鉄砲伝来の地を見て回ることでした。


旅の最中に、野々村は不思議な伝説に遭遇します。天正少年使節団(1582年に九州のキリシタン大名が派遣したヨーロッパへの少年外交使節団)よりも早く、大国ポルトガルの都リスボアの地を踏んだ日本人がいたというのです。名を「はな」といい、ポルトガル人には「アンナ」と呼ばれた女性。鉄砲の製法に必要なある技術と引き換えに嫁がされたといいます。


公式の史実には現れない女性の傍らに立ち、野々村は想像を膨らませます。埋もれてしまった女性の存在。種子島が大国に開かれていたあの時代、貿易によって得たものと引き換えに、人身御供のように命を乗せて船が出航しました。立派な大義のため、国益のため——その名と存在が後世に残る天正使節団の前に、存在を消された女性がいたのです。


野々村は内地の生まれです。海に面した島に生きる人々の口承伝承のような伝説には、そう簡単には超えられない深い溝としての境界線があります。


その溝の向こうに、はなという女性の矜持が島全体に纏わっていました。



📚「違い」よりも「同じ」であること

『テヘランのすてきな女』

著者:金井真紀

出版年:2024年

出版社:晶文社


”世界はいつも想像の何倍もこみ入っていておもしろい”


その一言がこの本を言い表しています。

中央アジアの手仕事展を見に行ったこと、現在放送中のドラマ「VIVANT」の舞台となっている地域としてイランとその周辺国に関心を持っていたので、この本はワクワクしながら読みました。金井真紀さんはこれまでに『パリのおじさん』という本を出版しています。イラスト入りでとても面白い一冊だったので、本作も期待大でした。


著者はイランの女子相撲をいつか見てみたいと思っていたそうです。それがきっかけとなり、イランへ渡航するために48歳で相撲を始め、初土俵を踏んだといいます。それだけ万全を期して臨む旅です。


イランはイスラム教徒の多い国です。ヒジャブという髪の毛を隠すスカーフと、身体のラインを拾わないマントを着ることが求められます。著者も複雑さに悩みながら、旅ではスカーフを身に付けます。本書を読むと、現代のイランの内情は、わたしたちが思っているほど女性の服装に関して厳格一辺倒ではないようです。


著者は通訳のお二人とともに、テヘラン(イランの首都)に住む女性たちにインタビューしていきます。主婦、弁護士、風紀警察、コンピュータープログラマー、細密画家、タイル作家、女子サッカー代表監督、女子相撲の選手、トランスジェンダーの大学生、アフガニスタン移民、敬虔なイスラム教徒——多様な背景を持つ女性たちの言葉が並びます。


この女性たちの話を読んでいるうちに、「違い」よりも「同じ」であることを強く感じました。風土、宗教観、暮らし、歴史、隣国との関係、政治的背景という違いはもちろんある。それでも、現代に生きる人間としての共通の悩みと、女性が求めるもの——自由・命・権利——は同じです。


イランと日本に住む女性の、何か異なる部分よりも、同じ部分を分かり合えるということの方を強く強く感じました。イランを空爆することも、街をめちゃくちゃにすることも、もうこれ以上やめてほしい。本の中にあった素晴らしい自然や、山でのピクニック、お風呂で憩う家族や友人、恋人の姿が何度もよみがえります。



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