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眠れる森。|原田ひ香『古本食堂』を読んで

10月14日
読了時間: 3分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


原田ひ香の本のタイトルはいつも手に取りたくなる潜在的な好奇心をくすぐる魔法が詰まっています。


以前スマホのからある記事を読みました。

内容は、複数のオンライン古書店に古本の注文が増加し、大量に買い取られました。

古本の送り先は、いずれも岡山県内にある物流センターという共通点があり、そこから米国向けに50トン以上の日本の本が輸出されたというもの。

AI学習目的のためか主に哲学、歴史、医学、法律などの「専門書」が大量に買い付けられたそうです。

役目を終えた本の行方を懸念するものでした。


古本は投機や知の情報だけが目的ではなく、年月を経て変わらない姿で生き続け、本を探している人を何年もかけて待っている”眠れる森”であって欲しい。


そんなことを考えた原田ひ香『古本食堂』をご紹介します。


💬原田ひ香さんの読書レポートはコチラからどうぞ。



📚小さな鎖をつなぐこと。

『古本食堂』

著者:原田ひ香

出版年:2023年

出版社:ハルキ文庫

特別対談:原田ひ香×片桐はいり


本作の舞台は神田神保町にある「鷹島古書店」。

店主の慈郎が急逝し、お店はビルごと残されました。慈郎の妹・珊瑚は北海道から上京し一時的に店を続けます。しかしその先のメドは立っていません。珊瑚の親戚の美喜希は、は国文科の院生で、生前の慈郎の店を訪れ、い一度進路の相談をしたことがあり、珊瑚を手伝うことに。

慣れない古書店の経営を続けながら、存続か閉店か揺らぎます。


本作のもう一つの主人公は個展や近現代文学作品です。

著者は中古文学を学んでいたこともあり、古典の引用も入っています。物語に時代的奥行きが生まれ、原田作品には珍しい展開となっています。


神保町の街を歩けば、個人経営の飲食店もたくさん見かけます。薄暗い、味のある店構えのその中はどうなっているのか。古書店に入るときと同様の少しおっかなびっくりしながら、店を覗きます。珊瑚と美喜希はランチのついでにテイクアウトを注文し、バックヤードで腹ごしらえをします。カレーパンやピロシキ、焼きそばと熱々を頂く描写は何とも言えません。そして美喜希は「古本食堂」を思いつきます。


慈郎から美喜希へ託した想いもまた、本をあいだに、小さな鎖をつないでほしいという願いを手渡したかったのです。そして託された美喜希の物語は次作『古本食堂 新装開店』へと続きます。



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