エッチングとマニエール・ノワール、銅版画をめぐる|レンブラント展×長谷川潔展を見に行く前に。
- 5 日前
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この夏、東京では「線と黒」を追い求めた二人の版画家に出会うことができます。
上野国立西洋美術館では、17世紀オランダの巨匠レンブラントが生涯挑み続けたエッチングを、パナソニック汐留美術館では、パリに生きた日本人銅版画家・長谷川潔がマニエール・ノワールに込めたベルベッドのような質感の黒を辿ることができます。
時代も国も異なる二人ですが、どちらも「銅版に刻む」という技法に挑み、独自の表現を切り拓きました。今回はこの二つの展覧会を、公式HPから見どころを3つにまとめました。
ご来場する際の参考になれば嬉しいです。
💬7月開催の注目の展覧会をピックアップしています。
版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト(版画)
7月7日(火)― 9月23日(水・祝)
世界屈指のコレクションが集結 — レンブラント・ハウス美術館(アムステルダム)と国立西洋美術館が所蔵する《病人たちを癒すキリスト》《三本の木》などの代表作を含む20点余りのエッチングを組み合わせて展示 。
画業を貫くエッチングへの挑戦 — レンブラントは先例から刺激を受けながら様々な実験的な試みを通してエッチング表現の可能性を追究し、その地平を拡げた。
後世への影響も辿る構成 — 19世紀にエッチング技法そのものの再評価が起こり、レンブラントのエッチングへの関心が熱狂的な高まりを見せた流れを、版画に加え文学・批評も交えて紹介 。
長谷川潔展 ―パリに生きた銅版画家の軌跡―(銅版画)
7月11日(土)― 9月23日(水・祝)
優品ぞろいの長谷川潔作品 — 町田市立国際版画美術館が誇る長谷川潔作品コレクションを初めて館外で展覧。渡仏前の初期作品から、漆黒の深みに静かな精神性を湛える晩年のメゾチント作品まで画業を通覧できる。
パリ画壇との交友を明らかに — ラウル・デュフィの勧誘で「独立画家=版画家協会」に加わった長谷川の作品と、マティス、デュフィ、ラブルール、スゴンザックら同時代画家の名品を並べて展示 。
仏訳『竹取物語』を一挙展覧 — 特装本にしか入っていないスイット(挿絵部分を別刷りしたシート)をまとめて見られる貴重な機会となる。
さいごに
銅版画の大規模な展覧会が、同じ時期に重なって見られるというのは、なんとも嬉しい巡り合わせです。銅版画工房に通い始めてまだ間もない頃、レンブラントのエッチング、長谷川潔のメゾチントを画集で何度も繰り返し眺めては、「どうしてこんなことができるのだろう」と驚嘆していたことを思い出します。
あの頃は、まさか東京で同じ時期に、実物を生で観られる日が来るとは想像していませんでした。今年の夏の、大きな収穫のような展覧会だと感じています。
銅版画は決して派手さのあるジャンルではありませんが、黒一色と化学反応を起こしながら作り上げていくその作品には、小さなサイズの中にも一つの物語が閉じ込められていて、時を経ても色褪せることのない輝きが宿っています。
もし一度も銅版画をご覧になったことがないという方も、ぜひこの機会に足を運んでみていただければと思います。
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