top of page

がっつり飲んで、食べないと、やってられない|原田ひ香『ランチ酒 今日もまんぷく』を読んで

  • 8月15日
  • 読了時間: 2分

📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。


前作『ランチ酒 おかわり日和』を読んで続きが気になり、すぐに手に取った第三作です。



📚言葉が生まれる食事、味が失われる会話

『ランチ酒 今日もまんぷく』

著者:原田ひ香

出版年:2024年

出版社:祥伝社文庫



主人公は引き続き、「見守り屋」を仕事にするアラサー・バツイチの犬森祥子。深夜22時から早朝5時までが基本の勤務時間ですが、依頼人次第でフレキシブルに対応しています。見守り屋の3原則は「働くな、動くな、見守るだけ」。依頼人の部屋でじっとして、何もしない。シンプルに聞こえますが、これがどれほど高度な仕事であることか。

今作も祥子は仕事終わりに、お酒に合う料理を基本にランチを夕食としてがっつり食べます。餃子、サムギョプサル、ビリヤニ、お好み焼き、天ぷら、朝食バイキング——飲みっぷりも選ぶメニューもボリュームたっぷりで、おかわりあり。この食べる姿が、祥子という人物のリアリティを支えています。


二作を経た本作では、祥子の内側にぐっと迫る内容になっていました。元夫、10歳の娘、夫の再婚相手、付き合い始めた男性との関係と進展——身の回りの環境の変化を起点に、今後「見守り屋」という仕事そのものの進退にも指先で触れる現実が迫ってきます。三作を重ねて主要な登場人物の背景や関係性に奥行きが出て、簡単に白黒つけられない大人のシビアな問題も、親しい仲にも疑心や別の顔を見るということも、面白味として際立ってきました。


一人で食べることが多かった祥子が、誰かと向かい合って食べるシーンが増えたように思います。そのことが食事の描写にも影響していて、口から出る言葉や感想がより専門的になっています。言葉が生まれる食事、反対に味が失われる会話。原田ひ香が描くお酒と食事と仕事は、読者のリアルな生活からとても近い距離にあります。


続きが気になって調べたところ、物語の終盤で祥子の物語に一区切りがつき、次の作品では「あさ酒」として新章がスタートしたそうです。



あわせてどうぞ




コメント


bottom of page