2026展覧会レポート#62|東京都美術館開館100周年記念大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画@東京都美術館
- 3 日前
- 読了時間: 7分
📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
夏休みの最後に東京都美術館「東京都美術館開館100周年記念大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画」展を見に行ってきました。
事前に調べたことを見返しながら、作品以外に楽しみにしていたのはミュージアムショップのグッズでした。今回のすみっこぐらしのマスコットやコラボグッズの充実ぶりは、作品を見に行ったあとの最後のお楽しみデザートのようなものです。
実際に作品を見た後ではヘトヘトになってしまいました。お目当てだったショップは思ったほどレジに人が並んでおらず、むしろスタッフが手持無沙汰のようでした。図録は二種類のカバーで金と銀とが選べる仕様です。魅力的で欲しくなりましたがぐっと抑え、すみっこぐらしのマスコットも愛でながら、最後はやはり見た「作品」の感動が勝っていました。
💬見に行く前に見どころをまとめています。

開催概要
東京都美術館の開館100周年を記念して開催される特別展。
ロンドンの大英博物館が所蔵する、約4万点に及ぶ日本美術コレクションから、江戸時代の絵画や浮世絵の名品を紹介する本展です。
会場では、屏風・掛軸・絵巻などの絵画作品に加え、歌麿、写楽、北斎、広重ら8人の浮世絵師による作品を中心に展示。さらに、日本美術がどのように海外へ渡り、大英博物館で収集・研究・保存されてきたのか、その背景にも光を当てています。
事前に公式サイトから見どころを3つにまとめてみましたが、その中で実際にゆっくり見てまわったのが「8大浮世絵師の版画と肉筆画」でした。
8大浮世絵師の版画と肉筆画
このフロアは浮世絵師の活躍した年代順に辿れるようになっていました。
鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、初代歌川豊国、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳です。肉筆画の初里帰り作品として喜多川歌麿《文読む遊女》1804-1806年頃と、葛飾北斎《『万物絵本大全』版下絵》1820-1849年頃がありました。
歌麿《文読む遊女》は制作時は51〜53歳頃で、1806年に亡くなった歌麿にとって最晩年の作品です。ちなみにこの作品は今回の金色の図録の表紙となっています。また北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》1831年頃は国立西洋美術館「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」展で見てから二度目となり、あの時みたバージョンを必死に思い出しながら見ました。大英博物館展の《神奈川沖浪裏》のキャプションでも「摺りの良い作品」と紹介していました。ちなみに大英博物館には《神奈川沖浪裏》が3点あるとのことです。
その中のどれが来日していたかはわかりませんでした。しかしベロ藍はキレッキレの青をしていて、今摺られたばかりのようです。
その北斎が版木にする前の肉筆画が展示されていました。肉筆画の極細の線と、小さな画面に世界を詰め込んだ画を彫り師がよくも彫っているなと改めて感動します。北斎もだけれど、彫師も刷り師もただ者ではありませんね。
また喜多川歌麿の艶めきや色気と、歌川広重の雪の情景と演歌の抒情、歌川国芳のドグラ・マグラ的な世界は、他の追随を許さない唯我独尊状。こちらもヒート・アップします。もっとやれやえい!と煽れば煽る程、狂気と熱狂の歓声を浴びながら涼しい顔をして彫る北斎、歌麿、広重、国芳。そのブレない体幹を感じて背筋がブルっとします。
河鍋暁斎の鳥獣戯画と、江戸という時代
最後の作品は河鍋暁斎の紙本着彩の鳥獣戯画がありました。
それらも滑稽で浮世的でカラッとした輪廻を感じさせるものです。大英博物館の日本に関する収蔵品の中で江戸時代のものが多いのは、江戸という時代の泰平と文化・芸術の爛熟、人々の美意識が高く質・量ともに量産できる体制があったからです。この時代には食文化もレベルが高く、珍味・美味がたくさん生まれたそうです。
150年ぶりに再会した狩野派の襖絵
150年ぶりに再会した狩野派の花鳥図襖絵を同時に4点見れたのも、上野だったからです。襖をこうして並べて見せる展示も初めてみました。断片的にではなく続き物として絵が季節を表わしている様子をみると、作者が描いた頭の中の構図がつながります。
肖像画と円山応挙の屛風
作者不詳の《聖徳太子像》、教科書に載っている有名すぎる《源頼朝像》が拝めました。実物の源頼朝は、くすんでいましたが、それが名状しがたい威厳と風格をもたらしていました。円山応挙《虎の子渡し図屛風》六曲一双も大きな作品で、貼り付けたばかりのような金を背景に、ふわふわとした大きな猫みたいな虎が子どもを加えている図。これは銀色バージョンの図録の表紙になっていました。日本の美術館が所蔵していそうですが、今度いつ見られるか分からないと思うと、親子の虎との別れが哀しくなります。
さいごに
大英博物館に行くことがあるか、ないかはわかりませんが、上野で厳選された美術品の数々を見られたことは、よい機会でした。今回のラインアップも、この展示以外では見ることはできないと思うし、作品の配置についてもそうです。
ロンドンの大英博物館が所蔵する、約4万点に及ぶ日本美術コレクションから、選りすぐりの作品が堪能できる充実のラインアップでした。
💡あわせて観たい、同時開催の企画展
東京都美術館では、開館100周年を記念して「東京都美術館開館100周年記念 この場所の風景―上野・大牟田・ブエノスアイレス」も同時開催中です(会期:2026年7月23日〜10月7日、会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C)。
1926年に日本初の公立美術館として上野に誕生した東京都美術館の100年を、上野・大牟田・ブエノスアイレスという3つの土地での創作活動を通してたどる展覧会です。
第一部「上野―東京都美術館の100年」では創設期から現在までの歩み。
第二部「大牟田―江上茂雄の100年」では炭鉱の町・大牟田で風景を描き続けた画家、江上茂雄(1912-2014)の画業。
第三部「ブエノスアイレス―《百日草の庭》をめぐる100年」では開館当時の収蔵第一号作品《百日草の庭》をめぐり、戦前にアルゼンチンへ渡った日本人移民とその家族の物語をたどります。
大英博物館のチケット提示で一般100円で鑑賞できます。
会期:2026年7月25日(土)~10月18日(日)
休館日:月曜日、10月13日(火)
※ただし8月10日(月)、9月21日(月・祝)、10月12日(月・祝)は開室
会場:東京都美術館 企画展示室
開場時間:9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
入場料:一般2,300円
🪞会場構成・主な出品作品
会場構成
公式サイトでは章立てではなく、4つのテーマ軸で構成が紹介されています。
コレクション形成の物語:アンダーソン、モリソン、ガウランド、フランクス、ビニョンという5人の収集家・学芸員を紹介しながら、多彩なジャンルの日本美術を展示
初里帰り・話題の作品:応挙《虎の子渡し図屛風》、ジョージ王子(のちの国王ジョージ5世)と久保田米僊の合作《蛍図》、《法隆寺金堂壁画 九号壁 模本》など
8大浮世絵師の版画と肉筆画:春信・清長・歌麿・写楽・豊国・北斎・広重・国芳の版画100件以上に加え、歌麿・北斎・暁斎らの肉筆画
海を越えた襖絵:大英博物館・青森の旧家(宮越家)・シアトル美術館に分蔵されていた狩野宗眼重信の花鳥図襖絵が、約150年ぶりに一堂に会する特別展示
主な出品作品リスト(抜粋)
初里帰り・注目作品
円山応挙《虎の子渡し図屛風》(1781-1782年)
喜多川歌麿《文読む遊女》(1804-1806年頃、肉筆画)
葛飾北斎《『万物絵本大全』版下絵》(1820-1849年頃、8点出品)
桜井香雲《法隆寺金堂壁画 九号壁 模本》(1880年)
英国ジョージ王子・久保田米僊《蛍図》(1881年)
8大浮世絵師の版画
鈴木春信《雪中相合傘》(1767年頃)
鳥居清長《飛鳥山の花見》(1787年頃)
喜多川歌麿《高島おひさ》(1792-1793年頃)
東洲斎写楽《二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木》(1794年)
初代歌川豊国《沢村宗十郎の大星由良助》(1796年)
葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》(1831年頃)
歌川広重《名所江戸百景 亀戸梅屋敷》(1857年)
歌川国芳《相馬の古内裏》(1845-1846年)
肉筆画・その他
河鍋暁斎《鳥獣戯画 鼠曳く瓜に乗る猫》(1879年)
作者不詳《猿草子絵巻》(1560-1570年頃)
狩野宗眼重信《秋冬花鳥図襖》(大英博物館蔵)/《春景花鳥図襖》(宮越家蔵)/《琴棋書画仙人図襖》(シアトル美術館蔵)(いずれも17世紀初)
あわせてどうぞ
詳しい活動はこちらから→【プロフィール】
お仕事のご相談はこちらから→【お問合せ】


コメント