2026展覧会レポート#29|ldem Paris「夢の工房 / Dreaming Factory」@イセタンザスペース
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📍いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
新宿方面に足を延ばすときは、必ずチェックするデパートのコーナーがあります。
新宿伊勢丹2階のイセタンザスペースです。
ここは現代アートやインテリアが扉のない白い壁とスペースを使ってギャラリーのように展示されています。
デパートならではの高級感と手が届かない感じもありつつ、常に新しいそわそわした気分に溢れ、物欲と美的欲求にきらきらした空気が流れています。
今回「ldem Paris「夢の工房 / Dreaming Factory」に足を運びました。
このスペースを知ったのは以前の「ドナルド・ジャッド展」からです。
💬2026年2月|「Donald Judd:Design」|イセタン ザ スペース

Idem Paris——パリの夢の工房
今回訪れたのは、Idem Paris のリトグラフ印刷工房で刷った国内外のアーティストの作品が一堂に見られるということで、ぜひとも見ておきたかったのです。
Idem Paris は1881年、地図印刷業者エミール・デュフレノワによって建てられ、パリ・モンパルナス地区の中心で第二次世界大戦までアトリエとして運営されてきました。
同工房にはマティス、ピカソ、ミロ、シャガール、ブラック、ジャコメッティら20世紀の巨匠たちと共演したフェルナン・ムルロの石版印刷機が所蔵され、伝統的な石版によるリトグラフ制作を今日まで継承しています。
100年以上の歴史を持つプレス機と作業環境を守り続ける、まさに「夢の工房」として知られています。
HPでは工房の写真を見ることができます。
古き良きパリの芸術の香りと職人の手仕事。
品格のある古い工房内には手入れされ大切にされてきた昔からのプレス機や、名だたる芸術家の手から生まれた石板の版や道具。
ある時からずっと同じ時間が流れているような静謐さと、時代とは逆行したようなリズムと光が差しています。
映画「パリに咲くエトワール」を鑑賞してから、20世紀のパリの街にタイムスリップした感覚を味わっています。
展示アーティストたち
今回イセタンザスペースで作品が展示されたのは10名のアーティストです。
【Idem Paris】
1. Akira Minagawa 2. Jean Jullien 3. Jean-Philippe Delhomme
4. Momoko Ando 5. Philippe Weisbecker 6. Stanley Donwood / Thom Yorke
7. Toeko Tatsuno 8. Yuumi Domoto
【Idem Editions】
9. Izumi Kato 10. Raymond Pettibon
リトグラフは石版の上に直接描画していくので、工房に赴いてそこで制作に取り掛かるそうです。芸術家同士が制作し合っている風景も、ロマンを感じてしまいます。
作品の感想
リトグラフの自由と個性
10名のアーティストそれぞれの持ち味やスタイルが完全に紙に転写されていたのは、リトグラフならではの、直接鉛筆やコンテで描き進められるという点が大きいです。
それは紙に描くくらい自由度の高い版画です。
意外だと思ったのは映画監督の安藤桃子さんの作品でした。
黒一色の版画は墨画のような、水を含んだような揺らぎと透明感がある作品でした。
皆川明さんの蝶々の作品はミナ・ペルホネンの世界そのままの、やわらかく自由でふんわりとしたストーリーのある仕上がりでした。
加藤泉さんの作品もまた黒一色の潔い版画ですが、あの特徴的な色彩がなくても有り余る加藤泉世界を紙に閉じ込めていました。黒のみだと神秘さや謎が深まります。
Stanley Donwoodのはっきりした色彩の作品は、リトグラフの面白さにハマって爆発したような勢いで、こちらもノリノリになるくらいクリエイティヴをまき散らしていて、気持ちがよかったです。
Jean Jullien のシンプルな線と描画はイラスト的ですが、リトグラフのしっかりした質感と相性がよく、色彩の采配も独特な洒落があり、インテリアとしてもマッチするでしょう。
会場では実際に Jean Jullien の「Dogtator」の石版が展示してありました。
原版を見ると、よどみない線と版の中にぴたっと収まる絵のバランスが見事でした。
原田マハ『ロマンシエ』との出会い
開催概要には原田マハ氏がテキストを寄せています。
Idem Paris の扉を開いたことで誕生した小説『ロマンシエ』を、迂闊にも知りませんでした。これは読まなくてはなりませんね。
また、先の「拡大するシュルレアリスム展」で見たウジェーヌ・アジェの写真も然り。
このところ個人的にパリ・ウィークが続いています。
デパートの小さな一角ですが、好奇心を刺激する展示ラインナップに惹きつけられ、また次回を楽しみに会場を後にしました。
会期:2026年4月9日(木)~5月6日(水·振替休日)
会場:イセタンザスペース
開館時間:10:00~20:00
入場料:無料
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