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新版画。最後の版元・渡邊庄三郎を知る|『最後の版元 浮世絵再興を夢みた男』を読んで

  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

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先日、三菱一号館美術館「トワイライト、新版画——小林清親から川瀬巴水まで」に足を運びました。それはこの展覧会のタイトルにもある「新版画」という言葉を作り、画家たちと協力しながら海外への輸出を通じて普及させた最後の版元、渡邊庄三郎について言及できなかったことです。

この展覧会では写真と版画のふたつを同時に展示するという独自性に目を向けていたこともあり、渡邊庄三郎という人物にまで筆が及びませんでした。


鑑賞後、一ヶ月が経った今、別の視点でもう一度この展覧会を振り返りたいと思い、一冊の本を読みました。


💬2026展覧会レポート#35|トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで(2026.5.13)



📚 海の向こうを見ていた版元、渡邊庄三郎という男の一生

『最後の版元 浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎』

著者:高木凛

出版年:2013年

出版社:講談社


この本を読む人は誰か

この本を手に取る人は、よほど新版画が好きか、スティーブ・ジョブズのコアなファンではないでしょうか。そうでもない限り、渡邊庄三郎はかなり専門的で地味(と言っていいだろうか)な人物であり、一般的な知名度をほとんど持ちません。その意味で、著者の高木凛さんがこの本を書いてくれたこと自体に、とても感謝しています。


版元から見た新版画の世界

本書は渡邊庄三郎の評伝として書かれながら、渡邊と新版画を志した背景、そして戦友のように普及に努め芸術性の高い作品を生み出した川瀬巴水や伊藤深水、外国人画家のフィリップ・カラペリやチャールズ・ウィリアム・バートレットなど、トワイライト展で作品が紹介された画家たちとのつながりや交流も丁寧に描いています。


渡邊の故郷である五霞村が、わたしの住む場所から意外にも近く、知っている地名が登場することにローカルな親しみを感じました。その彼が東京へ出て、十代の3年間に英語塾へ通い英語を身につけ、視線を海の向こうへ向けていたこと。外国人相手に日本の素晴らしい版画を輸出しようとしたその先見性は、時代の中でひときわ異彩を放っています。他と違うことをしようとするとき、目線を遠くへ向けること——それはいつの時代も共通しているように思います。


本書の中には、新版画や光線画、版画のサイズ、錦絵では裏を見なければならないといった知識も登場し、わたしがトワイライト展や北斎展で見てきたことの点と点をつなげてくれました。渡邊庄三郎という版元の視点から、川瀬巴水、伊藤深水、橋口五葉、フランク・ロイド・ライト、フェノロサ、藤懸静雄といった人物を見渡す新しい地図が手に入った感覚です。

浮世絵という木版画の伝統が衰退した後の流れを、渡邊の意志と審美眼、交流関係、海外とのつながりに至るまで丁寧に書いています。展覧会を見た人はもちろん、五霞村や東武線沿線に縁のある方にも届いてほしい一冊です。ローカル線で旅するように、一人の男の一生を読んでみてください。


美術鑑賞は、その場で終わらない

美術鑑賞がその場限りで終わらず、後からじわじわと興味が広がり点と点がつながる感覚の面白さ。前情報もなく作品を鑑賞して出てきた感想や印象はその時だけのものです。その後に知ったことや調べたことを照らし合わせながら、もう一度体験を反芻することも二度目の味わいになっています。


その意味で、振り返られるように図録を購入しておくのが一番かもしれませんが、行くたびに購入できるものでもありません。

みなさんは美術鑑賞をしたとき、図録は購入しますか?

ミュージアムショップでポストカードやグッズは手に取りますか?


わたしは見に行くだけでヒーヒー💦言っているので、何かを購入することはほとんどありません。例外的にポストカードを購入することもありますが、それもとっても稀なことです。



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